テキスト1964
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菊l白百合・紅水盤に用いる花留具は、花を留める道具てあると云うのが、今日の常識てある。籾山と云う便利なものが大正時代から使われ出したが、それ以前は生花は云うまでもなく、盛花にも必す七宝、亀甲、ごばん目、観世水などと云った花留具を用い、これを(しづみ)と云って、専ら穴に材料をさし入れて留めるのが晋通てあった。江戸末期から明治時代へかけて、この(しづみ花留)の中に、大変、意匠のよいものが作られており、特に仕事のよい美術的なものが多かった。この頃は生花の全盛時代てあって水盤生の水ぎわの技巧をやかまし水盤の生花に一株の場合と二株(分体又は株分け)の場合がある。水盤の生花は背低く横に広く活けると調和がよい。水盤は底の平らなたっぷりと広い形のものがよい。花留具は七宝(しっぽう)亀甲(きっこう)の様に穴のある花留には、花材の足もとを入れ木片(こみ)をつめて留める。靱山を使って活けてもよいが、靱山に立つ生花の株もとは感じのよいものでないから、花器は褐色黒色などの色の水盤を選ん.て、細山の目だたぬ様にするのがよい。七宝の花留の中に卸山を仕込んだものがあるが、生花には便利のよい花どめ具てある。<云われる時代てあるから、しづみ金具からの立ち上りの美しい技巧、殊に花留具も花留具それ自体、独立した美術品と見える様な作品も多かった訳てある。からかね、青銅などに精密な技巧を加えて、かに、くつわ、亀なども手足の動く様ないい仕事に作られてあるものもあった。その後、アンチモニーと云う便利な合金があらわれる様になって、往時の花留器具の美術と風雅がすっかり失われ、更に細山と云う殺風景な姿だが、実に便利のよい花留具が出現して、すべては実用本位と云うことになった。すいばんせいか日曜日の午後、お客様がお見えになるの.て、こんなテープル飾りを作って、お部屋のまん中に置きました。盛花とくだものを―つのお盆に飾りつけて。勿論、ぶどうも梨も召し上って頂くので、お飾りだけてはありません。ひろびろとした楕円型の大きな花とくだものお盆を選ん.て、ピソクの大輪のカーネージョソを4本、ユーカリ樹の小枝をすそもとに添五て、花器にはガラス皿に籾山を入れて、それに挿してあります。低く乎りな形になる様に、カーネージョソもユーカリの枝も短かく切って、まんまる<盛り込みます。すそもとの容器がすっぽりかくれる様に、下葉がお盆につくほど低く挿しました。お盆を広くあけて、りんごの深い赤色。洋梨の淡い黄色。ぶどうの紫を盛って。花とくだもの、美しい調和を考えたの.てすが、出来上ってみると、花も果ものもいよいよ新鮮に見えて、楽しいテー.ブル飾りが出来ました。あまり美しすぎて一寸、手が出ませんとおっしゃらすに、どうぞ御遠慮なく。果ものは次々と補充いたしますから。奥様お嬢様のお集りにこんなテープル飾りは如何でしよう。簡単.て美しい趣味の飾りつけになりましよう..(作り方について)花と果ものの遠び方、色彩の配合一について注意して下さい。明る<上品な趣味てある様に。花は低く作りすそもとを美しく仕上げることが大切です。お盆の上の空間をゆったり形よくとります。R 水盤の生花花留具も美術品と思われた時代があった。しつぽう花留は水盤生花に使う花留具て・す。穴のある花留では一ばん形のよい花留です。

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