テキスト1964
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茶室の花を一般的には茶花(ちゃばな)と云います。茶室は茶道のために特定の設備をととのえた。いわゆる草庵の席(四帖半)と・。普通の座敷てお茶をたてる広間の席(六帖.八帖などそれ以上)に区別されます。私はここて茶室に活ける花について解説しようと思いますが、ごれは常識的なお話てあって、茶道の専門的な点にはあまり深く入らないことと致したいと思って居ります。そのかわり、茶道にとらわれない多少、茶花ー批判的なお話も交るかも知れません。花適家の考える茶室の花として、お読み下さい。先づ茶花とはどう云うものであるかと云うことを考えて見ましよう。常識的に考えて、客を迎えて茶を差し上げる部屋にお花が人っているlことなの.て、これは普通のことなの.てすが、私達のいけばなとして部屋にお花を飾るのとは、少し性格が違う様です。いけばなは来客がある場合は勿論ですが、普通には家庭の装飾花.てあることに重点があbます。茶席の花はお茶を差し上げる部屋の花として特定の場合が多く、客にお見せする花であることに重点があります。勿論、其客のない普通の場合にも茶室に花を入れる家庭も多い訳ですが、盆吋に茶室とか普通の座敷とか区別みおヽやな苔こおにゆりしない場合には、難しく考えそ必要もない)特に茶花としてお花を選ん.て活ける場合には、茶花は茶道の香りと習慣に調和するお花てあることが大切.てあります。茶花はお茶の花てあると云う。特別な感情をもつからには、茶道にふさわしい花を入れねばならないし、活け方もそれらしい活け方をせねばなりません。また、その前にどう云う考え方をするかを知ることが大切.てす。いけばなは座敷の装飾として、かけ軸につい.て軍要なものであります。日本建築の伝統的な形として、座敷には床の間が中心となり、懸け軸を懸け花を飾ります。茶室の場合にも先づ第一にかけ軸、その次に花が重要であります。草庵の席(四帖半)には軸と花のみで簡索な装飾をしますが、広間の床には香炉その他の飾り道具を僅くこともあいます。草庵の席は正式な茶室.てありますから、茶道の静寂、佗びに通ずる花器と花の種類を選ぶこと、また活け方も、つとめて技巧的な上手達老な活け方をやめて、外見はざっと挿してある様に見え。静かな感じに活けることとなっています。いい加減に挿すのではなくて、充分心をこめて、しかも素ぼくな自然りしさを感じる様な活け方と云うものは、中々むづかしいものです。草庵の席には、数少い人達が静かに落着を味わう、と云うことが目的なの.てすが、これが広間の席となると感じが変って来ます。かなり多数の人達が集り賑かに趣味を楽しむ場所でありますから、この場合の花は、かなり大きく、賑かに入れてもよいこととなっています。と、ごのペーヂの絵図にある様な、普通の瓶花の様な技巧的な投入れを活けてもよい訳です。四帖半の茶室を草庵の席、又は本席とも云われますが、麻敷のつくり、庭の状態もそれにふさわしい形になっており、床の間のいけ花もつとめて簡略清浄な感じ活けます。花器は置花いけ(主として小型の陶器、竹器、寵など)。かけ花いけ(竹器籠など)の場合には柱がけの横懸けの花。床の墜のまん中の胴釘にかける向う懸けの花が多く用いられます。かけ花は置花器を略して、狭い場所を有効に使う意味と、簡略の心をあらわしたもので、草庵の茶室には多く使われるのです。この様に、四帖半の場合と広間の場合とは花器、花ともに選び方も違い、分量、活け方も変る訳てすが、要するに、草庵の茶と、広間て行う茶のその考え方が異るの.てすから、それぞれに調和する花を入れようとする訳なのてす。八帖十帖の座敷てあります(絵と文専渓)

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