テキスト1964
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Bふii5月より6月へかけてはなやかな花材よりも、淡泊な感じのものがよい。緑の多い中に小量の美しい花を交えるーた配合が好ましい。水揚のよい花を選んで、また、枯草などを用いるのも変った感じがする。ここにはそんな調子の花を4作あつめた。すすき枯花この季節になると、と云っB 花器はコバルト色に紺色の回案が答る。昨年の秋より保存しておいた枯すすきの淡褐色と、緑の葉、白花のテッポウユリを取り合せて瓶花とした。緑と枯葉色が対照的に美しい缶調を作っている。他の材料でも枯草と緑葉との配合は色の引き立つものである。ことに、賑やかな花の多いこの頃には、こんないけばなも変って面白い味わいがある。同じテッポウユリに配合をかえて、この季節の新鮮な感じの瓶花を作った。なつはぜは山のかんぼく。枝振りの変化のある、緑と紅葉の交ったものを3本。百合を後方に、はぜを前万に同じ様な大きさに重ねて、少し変った花型に作った。創作花型と云うところである。さっばりとすかすかしい感じの瓶花.てある。花器は褐色に銀色を交えた陶器,A おけい古がすんでざいました」とお花を紙に巻いて帰るとき、その包み方にいろいろな、その人の個性が見えます。花器から一本づつ丁寧に抜いて、紙の上に整とんする様に美しく揃えて包む人。大急ぎて紙袋につっ込む様にして紙に巻く人。丁裁よく包まうと包み方を考え考えして幾度も包みなおす人。花を紙の中へすっかり入れて包む人。きれいな花を紙の上の方から見える様に包むアクセサリー型。活けにくい花だったわーと憎らしそうにふんじばる人。いろいろの型と個性がある訳ですが、活けるときは少しても美しくなる様にと、花に傷を入れない様に、葉の折れない様に、小枝が折れない様にと心を配るのですから、花の包み方にも充分、静かに丁寧に扱って下さい。きれいな柔い花は、花だけ柔い紙に巻いて紙包みの上へ出ない様に、風のあたらない様に包むことです。アクセサリー型も結構ですが、それては帰るまてにお花が駄目になってしまい玄す。電車の中ておけい古帰りのお嬢さん達が、花包みを持ってお友達と雑談しきり、花包みの先が座っている人の顔や胸のあたりを往復して、大変洸惑なもの.てす。の灼ものの中で見るお稽古帰りの花包みを見ると、おけい古の状態ガよくわかります。「先生有難うご材料の配合がすぐ解るから、その好み方もわかり、そのレベルも察せられると云うもの.てす。趣味の悪い色染めの木や草が紙の中から突き出て、ちぐはぐな花が包まれている花包み和見ると、やれやれと云う気持がするものです。昨日、省線電車の中で私の前へ座った四十年配の奥様。一越の黒地のきもの、洋服地の様な小さな白ぬきの洋花の図案のきもの、渋いえんじ色の帯、帯締も同色のえんじ色。黒色に赤いふちどりのある布の大きいバッグ。この人が花包みを持っていました。白百合に渋い赤紫色のバラを紙包みに包んで、横の座席に置いて、静かな感じの人だったが、そんな間にもその人柄がしのばれるものです。「花づつみ」と云う言葉は伝統的な古い言葉です。桃山時代より江戸時代へかけて、京都に住む公郷の人達の間に、花を贈りものにするとき、丁度、炭斗包(のしづつみ)の形に色紙を折り、それに花を包ん.て届けた習慣がありました。慶弔季節に依って色紙の色を変互上重ね合せ、その贈り主の心を風雅にあらわし,入ものです。狂言「しんばい」の中にも、その花包みを舞台に持って出ることになっています。今日.ては花包みの紙もセロファン紙、ビニール紙ー」薄手の美しいものですが、日本の古い伝統にある「花包み」の形式を何かの形に利用しては如何かr』心います。百合なつはぜ百合花づつみR A

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