テキスト1964
30/104

この盛花は一月より二月へかけての花てす。新年花に活けたなんてんの葉がすっかり落ち去って、実だけが残りました。あ哀り美しいの.てもう一度お役に立てようと、葉の茎をすっかりとりはらって、幹についた実を水の中でざぶざぶと洗うと、すっかり新しい感じになりました。淡青色の少しモダソな陶器に剣山を入れ、なんてんを控の位置と胴の位置に一本つつ入れて、実を自然の形のままに下げて安定させ、大輪萄を二本そえ`ぽした。なんてん大輪菊萄は大輪の温室咲、色は淡紅色。葉は新鮮な濃緑色>簡単な花てすが、はっきりとした色の美しい盛花てす。この盛花て注意したいことは、見古した花ても.この様に模様替をして活けるとすっかい見遥える様に、新しく感じられることです。この場合、必ず水.て洗って使う様にします。そして前に活けてあった形とはすっかり姿を変えてしまうことです。この盛花はなんてんと菊とが、何れが主材、ねじめと区別出来ない程、同じ力で形が作られています。この様に、二種の材料ともにのびやかに入れたい場合、五対五の割合.て大きさを定め、二つの力を結んで.ひろやかな形を構成します。1ー2がくモンステラクンジラン2月15日にこの盛花を活ける。庭にまだ枯々とした「がく」を二本切りとり、温室の材料、モソステラとクンジランを一種とり合せましたoクンジランはオレンヂ色の花、モンステラは濃い緑の葉。花器は淡青色の水盤てす。直線的な単純な感じの配合.て、こまごまとした感じがありません。クンジランとモンステラだけ.て充分美しい盛花となるのですが、この二種だけ.ては温室の材料を合せただけて平凡てす。この二種に枯々とした「がく」を加亨見ると、ぐっと引きしまりが出来てきます。よく他にも例がありますが、温室の花二種三種と取合せたときに、それには甘い美しさはあがが、いけばなとしての深み、味わいと云うものが生れません。この甘い温室の洋花に、少し強いて、その取合せ全体を活々として見感じの材料を加えると、そこに始めせる感覚が生れて来るのですへ)この写真の盛花は、そんな特徴をもつ一例だと云えます。また、単純な配合だが無駄のない形を作り出していると思います。クンジランの緑の茎に褐色のがくの枝を重ねて変化をつけました2 ⑥ 花と花器は離れることの出来ない仲間てある。花は花器のことを考え花器は花のことを考える。花を巧みに活けて花器を引き立てることが大切であるし、また花の活け易い様な花器てあることも大切てある。ところが、これと反対の場合がよくある。活けることを考えない.て作る陶器の作家もあり、花器を引立てることを少しも考えない痣追家がある。花器と一口に云って種類も多く、また活けることを目的としない花器もある。活けることを考えない花器なんて大体おかしいが、中にはそんなものもあることは事実である。花を活けるごとを目的とする花器なれば、花を挿した状態を考えて、高さや、胴張り、色調絵附をして貰わねば花を活ける場合、壺の寸法が高すぎたり、図案が邪魔になったりする。花器だけを格好よく作っても花は調和しない。花を活ける人が花器を引立てることを考えないで、花形を作るだけにせい一ばいの人がある。花器をすっかり枝葉てかくしたり、壺の口辺をすっかりかくしたり、花器の趣味も花器の努力も全然、注意しない花道家があるこれてはいい仕事が出来る筈はない。花の名手はいつも花器が引立つ様ないけばなを作る。名家の花器には寸法の狂った花器はない筈である。盛花二題花と花器

元のページ  ../index.html#30

このブックを見る