テキスト1964
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ー2.ころ~てす。ふノ。ことに花道の場合には、花の名をん」では山に咲く風雅な姿を想い起せないし、定家かづらを「ていかかづら」と書いたなれば、恐らく藤原定家の名を想起するごとはないてあろう。この様に花には植物学的にその植物の真実を知るために必要な名もあれば、また一方、文学的、美術的に花を見ようとする一面もある訳てあって、基本的に花の名をひらがな、カタカナと定めることはよいことだが、文字の使い方については、もっとひろやかな考えをもつべきだと思植物として考えるだけでなく、風雅な趣味の対照として見る場合が多く、その場合に使う花の字は、ひらがなだけ.ては不充分で、例えば「乙女椿」「柊南天」「福寿草」「貴船菊」「女郎花」「沈丁花」「熊谷草」などの様に、漢字に依ってその花の意味や香りを感じる性質の花が多、。しいけばなは花を形づくる芸術であるが、同時に花のもつ情緒、詩的な文学的な情緒を味っことが大切てあるから、ただ、植物学的に正しい花の名だけ.ては、もの足りない場合がある訳てある。従って、これを要約すると、いけばなに使う花の字は、植物学的に正しいことは必要だが、また一方、花道としての独得な字の用い方、配列も差支えないことと私は考えている。またそれを実行している次第てある。日本家屋ては立関が重要な役目をもっています。晋通は玄関.て応接をすませることが多い訳てありますから、玄関は通路てあると共に応接間と云うごとになります。立関にいつも美しい花が活けてあるのは感じのよいものです。その家庭の気もちがうかがわれて、来客の第一印象に影据を与えます。玄関と云っても種々な形式がありますが、四畳半、六畳程度が晋通と云ったと立関の床の間にいけばなを置くのが晋通でありますが、凡1の様に窓際の棚がある場合には、それへ小品いけばな装飾⑤玄関の花の瓶花又は盛花を飾るのもよい調和*てす。玄関の花はどの場合も小さい花器に簡単な花を入れるのがよい。かけ花などよく調和します。一瓶てよい訳てあります。打って、かけ花器をかけ、それへ小品花を活けてありますが、ごれは「向うがけ」の活け方であって、正面と左右へ花の表が見弓る様に活けます。立関にもいろいろ工夫を凝らした造作がありますが、要するに座敷の上か、土間に意匠のある場合、この二つに調和する様に、適当な花器を選んで挿花します。立関に二牧折の屏風を立て、その前へ低い花台又は薄板を置いて花を飾る場合があります。小品の生花、盛花瓶花の何れもよく調和します。次に洋風建築の立関について考えて見ましよう。和室の場合には花を凡2の図は立関の土間の壁に釘を置く場所が初めから、大体、おるものでありますが、洋室の場合は殆ど定っていませんe適当の場所勿論、によく調和する場所に飾ればいい訳.てす。て見苓すと、大体に日本の生活に適する様に設計されていますから、例えば立関て履ものを脱いて、そこにはすぐ高い小型のスタンド式のテーブルに、小さい花を飾ると云った場合が多く、また、これも「壁かけの花」を飾るのもよい.てしよう。和室にしても洋間にしても、立関が狭い場合には花瓶を置かないで、次の応接間に飾るのが常識となっています。洋風の応接間にはいけばなは一瓶てもよいが、中作一、小品一、と二瓶飾るのもよい訳.てす。つまり、日本座敷.ては花を飾る埠所を最初から定めて造作がつくられているのに対して、洋間はマントルピース定って日本の洋風建築の住居を考えを中央にして、自由な室内装置をする習慣になっていますから、どこえでも飾ればよいと云うことになります。窓際へも、部屋の隅のテーブルの上、書棚の上、ピアノの上、サイドテーブルの上、また中央のテーブルの上へも飾り付ける場所は随分多い訳てす。要はその場所によく調和する大きさと、スタイルを考えて飾ります。窓際の高いテーブルに晋通の大きさの花を飾り、中央テーブルの上に小さい皿の様な器に、十センチ程度の低い小品花を置くと云った調子です。以上のお話は玄関とか応接間など、はっきり定ってある家の装飾法ですが、花はどこへ飾っても美しく見ることが出来ればいい訳て、そんなに飾り方の難しいものではありません。ただ、その場所によく調和する様に、或は飾ろうとする場所に調和する花を選ぶごと、大きさを考えることです。アパートの部屋にはまた、それに調和するお花を活けねばなりません。総じて考えられることは部屋の壁の前、又は部屋の隅に置くと感じよく見られると思います。そして畳又は床の上より二十セソチ以上の高い場所に置くことが大切てす。③

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