テキスト1964
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(盛花•投入)しし、0元み籠の投入れの図三つをならべてみた。籠の花器は四季ともに用いてもよいのだが、白竹の籠は冬期には寒々として感じがよくないので用いることが少い°色つきの籠はいつ使っても差支えない。茶席には冬季に籠を用いないが、普通の座敷の場合はこれとは別に考える。手つ苔籠に梅・なたねことに近頃は、ビニール製のかご、ラッカーで仕上げたもの、その他化学繊維などを材料として、籠様式の容器が作られるので、その範囲も段々とひろくなり、風雅な竹の籠だけに限定することはできない。さて、ここに掲げたのは上品な趣味の竹かごであって、それぞれ形が違う手つき籠である。①は乎籠(ひらかご)に梅となたねの二種挿しである。これは盛花籠又は果物盛の籠であって、中に落し(おとし)(中箇)を入れ剣山を使つて花を挿してある。古木を交えた梅になたねの二種で新年の花としてもふさわかごの手に花材がさわらない様に少し空問をとつて入れる。籠の花はどんな場合にも重くるしくならぬ様に、軽やかな感じに仕上げる。この籠は古典的な様式の籠である。濃い褐色の骨ぶとい竹を組み合せて作られており光沢が美しい。こんな籠には、牡丹2輪ほど入れて、手から枝葉の出ぬ様に入れるのもよい調和である。或は笹百合一種、寒菊一種といった調子がよくうつる。せんりよう一種、紅業青柳に山菊といった配合もよい。この写生図は白つばきの枝振りのよいものを一本、左方へつき出して挿し、足もとに小枝を二本ほど挿してまとめてあるのだが、手の内の空間をひろくあけて、美しい空間を作っている。中筒にななめ十文字のくばり木をかけて、更に丁字留をかけて活けた。2 3 篭の花はどんな場合でもあっさりと入っているのがよい。従って一種挿と云うのが多い。壺の花は技巧が加え複雑であるが、篭の花は投入れと云う言葉の示す様になるべく簡単にさつばりとした花を入れる。いけばなの稽古に壺や水盤の花形を多く皆うのは、技巧の勉強になるためで、それに較べると籠は技巧を加えるほどよい花ができないものである。この図はアイリスを3本、手籠に入れたもので、この場合、落しがすつかり見えるから、足もとの留め方を美しく作る必要がある。この図にあるアイリスは、濫室咲でも盛季の材料で葉もしつかりと太いので、調子がとりやすいが、初期のものはこんな調子には活けにくいと思う。7 .、マ* アイリス一種'' 白つばぎ一種

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