テキスト1963
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生花盛花瓶花いづれの場合でも二種以上の材料を配合することが多い。根じめをつけることは、一種ては淋しいと思っとき、何か色を添えようとする心である。一種て充分美しい場合には根メをつける必要はない。また材料に依っては一種挿のほうが花の引立つ場合もある。一種のいけばなは単純、清素と云った感じて、さっばりとした味いがある。大輪の白菊を三本、立体に活けて一種挿にするあの感じは清浄であり、大輪菊の一ばんよい姿を見ることが出来る。いけばなにはいろいろな姿がある。根じめをつけないとどうしても感じの出ない花材もあるし、何種かを集めて豪華な美しさを見る盛花もある。一種挿はこれとは反対の境地の単純の美を味ついけばなと云えよう。大輪菊の白、菖蒲の白、つばきの白、てつぽう百合の白など、白い花の一種挿はことに清りかな淡泊さを感じる。和室、洋室ともに装飾の多い部屋には一種挿のいけばながよい。床の間の懸軸に色彩の多い場合、花器の色調の派手なものには花はさっばりと一種入れにする。花も装飾も引き立つこととなる。また、小さい部屋には小品のいけばなが調和する訳だが、この場合も小品の一種のいけばなが好ましい。つばき、ばら、さゆ牡丹一種専渓画りの一種など静かに落着のある花.て立関の花、茶席の花など特にこんな気持.て一種の花を入れる。なんとなくすっきりとして感じのよい飾り付となるだろう。四季にある花て一種挿に活けて感じのよい花を書いて見る。アマリリスチューリップせんりようすいせんフリーヂヤラッパ水仙いちはつテッポウ百合しようぶかきつばたしやくやくやぐるまそうこでまりいわどゆりやまぶきすかしゆりかんぞうグラジオラス白星かゆうてつせんためともゆりリーガルリリおにゆりからいとそうはげいととりかぶとさんぎくほととぎすガーベラしうかいどうあじさいささゆりだけしまゆりぎぼうし紫花アイリスおだまきそう八重桜の開花共Jキ:.Jつ,½Sく•るまゆり,ス)う。つばきぼたんつつじなたねおもとあざみかゆうダリアばら大輪菊はす寒菊カネージョソせんのうこの他にもあるだろうが、以上に書いた様なものは一種挿に活けて感じのよい材料てある。勿論、以上の中には他の花材と二種三種と配合してよい材料もある。一種挿には二つの考え方がある。_つの場合は純すいな意味の一種。例えば白菊二本なり四本なりを一瓶に活けること。ピソクのダリアを一色て活けること。今―つの場合は菊一種挿.てあっても白と黄と交えて一種挿とする。また、ダリアの濃紅と淡紅を交えて一種挿とする。この場合である。厳密に云えば白菊黄菊なれば二種であるが花道の場合はこれも一種と見なす。どちらでもよいが要するに一種挿の清浄な感じが出ればよい訳てある。次に花器との関係を考えて見よう。復雑な図案のある陶器の壺や、しんしやの様な強い色てしかも色調の交った花器には淡泊なものが調和がよい。藍絵(そめつけ)の花瓶に黄色系統の大輪菊を一種挿にする。これはよい調和てあろう。寵の花器もさっばりした感じの花がよい。笹百合一種、がきつばた一種、山菊一種などよい取合である、竹器に投入れする場合、細口の(例えばつる首の様な)花瓶に花を入れる場合、当然、一種挿にする。(その他)細Dの陶器につばき一種、ばら一種と云った調子に入れる。寵の花器は花器自体が自然趣味のざんぐりした感じの花器であるから、花も手のこんだ形の復雑な感じのものはよくない。ごく楽々と何んとなく入っているのが籠の投入の特徴である。従って籍花器のあまり手の込んだ器はあまり感心せないし、そんな調子のものは見かけることが少い。芸術的な作品の寵のことはさておき、私達の用いる寵はつとめて素ぼくな自然趣味のものが好ましい。従って籠花器には一種挿がよいと云うこととなる。ここに掲げた寵に牡丹一種の投入は黒い色附の時代籠で、かなり手のこんだ籠だが、こんな調子の籠はこの頃は作られることが少く、特別な場合をのぞいて見かけることが少くなった。この図の牡円の投入は数年前に私が活けて、写生したものだが、紅色の花と緑の葉が黒い寵によく調和した作品であった。時代籠(古い伝統的なと云う意味)に古風な感じの牡丹がおきまりの様に調子をあわせている。籠の一種挿でも、もう少し明るい調子で軽やかな感じのものがよいと思っている。椿はどの種類でも一種挿に入れるのが最も引立つ。根じめに使うのもよいが、椿を主材にして他の草花を根メにつける様な活け方は感心しない。一種挿にする場合はつとめて小品に入れるのがよい。椿の大きいいけ花は上品に見えないものである。(I) 種挿ぁ(7) (2)

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