テキスト1963
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>3歌にある通り中々ややこしい。すすきの穂は尾花(おばな)と云う。ごれはわかりがいい。ところが「よし」「あし」「おぎ」となるとこれは一寸ややこしい。試みに広辞苑をしらべてみると、「よし」も「あし」も同じく贅、薔蔑の字を用いてある。一おぎ」は浜荻とも書いてこれは別の字てある。「ものの名も所によりてかわりけり難波のあしも伊勢のはまおぎ」と云植物学的には勿論、品種の別がある訳だが、私達の見るところては海辺や川辺にある種類は一よし」又は「あし」と呼び、広い葉の太く柔い軸の種類を一おぎ」又は一浜おぎ]と称している。盆国芸口淫恒)ずすきの穂は垂れて尾花と称するが、一よし」や「おぎ」は穂が直立して、茎も長くのび立ち五メーターにも及ぶものがある。幹に竹の様に「ふし,一がありこれも俗に「だんちく」と云われる。初夏の頃に、南芸品種の一はまおぎ」がまつ白い葉に細い白緑の線を見せて、庭や畑にのびて来ると、いかにも夏ゃじい情緒を感じるものである。また、これの小さくてよく似た_姫あし」と云うのがある。「パンパス」は洋種のすすき。これはいけばなには一般的な材料.て、夏から秋《かけての材料としてよくおぎ用いるものであ召パンパスを乾燥したのが冬にも見ゃれるが、あまり感心しなり殊に色染めのものなど場末の踊子の様に思えて、さむざむとした感じである。写真の花はパンパス、カラジューム、白菊の三種の材料を、あづき色の水盤に入れた盛花です。花器の中ヘ籾山を入れてパンパスの穂を2本思い切って短かく切り、花器の中央から少し前へ傾けてさします。カラジュームは鉢植のものを2本切りとって左前斜に頷けて1本、長くさし出し、これと対照的に右横に1本短かく傾けてさします。単弁の白菊を3本、花器の前方へ右より左へかけて長短をつくって配列します。水ぎわに深緑の菊の葉が豊かなうるおいを見せています。この盛花はさし方はいたって簡単なの.てずが、材料の選択、色彩の配合についてはかなり注意がいります。パンパスの穂は光沢のあるラクダ色、カラジュームの軽快な形と、緑と白の明るい色調、菊の葉て足もとをぐっと引きしめて安定感を作っているのです。花器は紫赤色の落つきのある形で、これらの花材と花器の配合が、静かな感じの中に新しい気持をつくり出しています。いけばなは美しい花てあるとともに、日もちのよいことが大切です。このパンパス、カラジューム、菊のパンパス盛花こ。ナ盛花はことに水揚のよい材料です。とくに注意することは、材料はいつも新鮮なものであること。花や葉の美しく傷のないものを選ぶこと)つまり質のよい材料を選ぶことが大切てす。分量が少くてもよい材料を使うことが美しいいけばなを作るコッです。秋は黄ばんだ葉が枯れ落ちるとともに、豊かに色ついてたわわに熟した実ものや一百菊の候―と云われて美しい菊の花がここかしこを彩る季節てず。この作品は庭に地咲きの黄菊(料理菊)と、川の辺にのびやかに出生するヨジを材料として瓶花を作りました。上昇するヨジの穂とたれ下った葉に秋の感覚をあらわそうと考えきした。それらの鋭くとがった葉の交さくに自然の情感が見られます。ョジは非常に背の高いものなので、穂と葉の部分を二つに切って前後にさし、また別の葉をあしらいまし黄菊はさりげない感じにななめに挿しました。根メには花を短く挿すのが普通てすが、それては型にはまることになるので、この瓶花には思い切って右方へ長く菊をさし出しました。伸び切った感じを出すための野放国さも晩秋の名残として、許される構図てはないでしようか。ヨシの瓶花.素子ーゞよし、あし、2. ヨジの瓶花1. パンパスの盛花(3) 2. 1.

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