テキスト1963
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1J皆様。現在、私達の家庭にある装飾品を考えて見ましよう。先づ床の間の置きもの、香炉‘陶芸品、人形、庭の灯籠、飾り石など考えて見ると特に実用品.てない装飾物が習慣的に置かれており、私達はそれが普通のことであって別におかしいとは思いません。灯籍など灯をつける.てもなく全くの装飾品でありますが、これも普通のことの様に考えられています。私達の生活は年月がたつに従って変化して参ります。家のたて方も変わり室内の様子も変わり、床の間などは追々なくなるに違いありません。家庭の装飾品にしても時代の変わるにつれて新しい様式のものが使われるのが当然てありまして、いつかは此のオブゼエ様式の作品がどの家庭にも室内装飾品として飾やれる様になるに違いありません。最近の小学生の絵画や工作を見ますと随分新しい感じのものを教っている様であります。新しい高度な美術を理解させるために子供達の自由創作を大きくとり上げて、惑ずるまま、思つままにあらわす方法て描き或は作らせておる様.てあります。私達の時代の写実的な絵や工作は殆ど少い様であります。前衛美術的な作品を子供達は好ん.て描いております。これは―つの例てありますが、お母様方も大いに近代美術を理解して新しい知識を養わねばなりません。私は常々思うのでありますが、華道のオブゼエがいけばなと同じ様に家庭の装飾品として用いられることが最も望ましいことであるし、更に家庭の人達。即ち御婦人の皆様が自分で作り得る程度のオプゼ工作品をつくられる様になったら|ーそれがほんとの華適のオブゼエの目的てないかと考えております。そこで、ごれからのお話は華道家達が展覧会の出品作として、その他の作品を作る場合の考え方と、今―つは家庭の装飾品として皆様が作ることの出来る様なオブゼエの作り方、考え方に就て話をすすめて見ようと思います。オプゼ工の鑑賞お話の順序を少し変えて、展覧会に出品のオブゼエ、その他の商業用途に用いられるオブゼエの見方についてお話しましよう。この場合は専り華道の専門家が作ることが多い訳て、皆様がそれを観賞する立場からそれをどの様に理解せねばならないかと云うことでありまして、また同時に華道家の皆さんがどんな考え方てその作品を作っているかと云うことの説明にもなる訳であります。会場に出品される作品は大体1メーター以上の背高い立体のもの、またその程度の大きさの横にひろがったものが多い訳です。これは丁度、彫刻を陳列した様な状態のものであります。大きさには制限がなく、ずっと大きいものもあり、また反対にずっと小さいものもあります。また壁面装飾用のレリーフ(かけ額の様な形式のもの)もあり、モビールと云って上方からつり下げる装置のものもあって、これは軽く静かに動くことを目的とした作品であります。これらのオブゼ工作品は展覧会出品の目的てありますから、会場芸術としてその場所によく謡和すること、陳列して観賞者の見やすい様に`或は会場作品として引立つ様に考え会場出品作①材料。金網、石膏、紫ぶどう、この作品は、全体.て―になっています。て大きな花弁をつくり、その中に花の蕊の感じをジュロ、プドウ、造花の異った材料で作っています。褐色のジュロ、紫のジドウ、ヒアジンスの様な形の紫の造花を配合して美しい色の調和をとりました。やや甘い感じの作品です。(会場作品として)造花盆紫花)つの花の形金網に石膏をつけ見ることが大切てあります。オブゼ工は常に新しい美術の分野を切りひらいて行くことが目的てあり、流行追ずいの模造品であってはならない訳てすから、そんな点にも在意しま会場作品③材料。コソクリートの花器。コンクリートかたまり。ばらの造花(黒色)コンクリートをかためて彫刻をした花器に、造花の黒いばらを埠した作品。これは生花てありますが花器が変っている事右側の上業に装飾としてのせたコンクリートの固まりの中には黒い石炭も混って変った感覚てす。造花の黒は服細工の様なにぶい黒色です。(会場作品として)す。(次号へつづく),s>

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