テキスト1963
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水切435621873いけばなに用いる材料は何よりも新鮮であることが大切てあるが、新鮮と云う言葉の中にもいろいろ程度がある。庭にある花を切りとって、すぐ花瓶に活けることが出来るの.てあれば、殆どよく水揚げる。花屋の店にある最も新鮮なものと云っても、切りとってから数時間乃至十数時間が経過していることであろう。水揚の難しいものは切りとってから、挿花するまでの時間がどの位い経過しているかと云う点にも問題がある。鮮度によって水揚に関係すると云うことである。何れにしても、切りとった材料は先ず第一に水切りをする。根もとを5、6センチ程、水中.て切り根もとを新しくする。水切りすると吸水力が盛んになるから、どんな材料ても水切りすることが先決問題てある。ただ、丈夫な木ものやたとえ夏の草花ても、いものは水切りせなくともよい。水揚を要する様な柔い草花、木ものでも若芽の柔い性質いもい..また季節的に云うと、5月より9月に至るまでの材料は、とりあえず水切灼をしてその後、別の水揚げの方法を加えることとする。水揚の方法は大別して左の通りヤ`ある。水切りをする四季を通じて殆ど水切りをすれば、効果がある。一度だけ.てなく、活けてから後、萎れた場合もそのままにせず、すぐ花器より抜いて水切りをする。切り口をたたき割る。木もの草花を問わず切り口をささらの様にたたき割ると、吸水がよくなる。なる。切り口を焼く。根もとを炭化せしめる。植物に炭素を与弓る訳てある。熱湯て煮く。熱湯を煮沸させ、それへ切り口を二三分つける。花葉に熱気のあたらぬ様に注意する。焼く場合も、煮く場合もすぐ冷水にうつして暫く置くこと。微温湯に小時間つけておく。ぬるま湯を壺に入れ、材料を紙に巻いて30分程度つけて置く。塩、旦扇やかのこ百合い様に強水切の方法切断面を多くする関係に砂糖、焼酎、みようばん。塩て切灼口をもみ、そoI玄ま花器の中へ人れ空熱湯て煮くとき塩を投入する小さい花器へ砂糖を投入し糖分を吸わせる二秋釘梱には砂糖水を葉に吹きつける>すすき、浜荻も同様に効果力ある、葉か巻かない。熱湯で煮くとき焼酎を湯り印へ加氣くと効果がある二夏し草花には殊によい。みようばんは花器の中へ小量投入して置く(結晶みようばんがよい)花器の水にとけて水揚薬となる。注入水揚薬蓮、河骨など茎の中へ薬を注入出来る性質0材料に用いる)水揚ポソプ.て薬を吸い上げ、根もとより葉先ま.て薬液を注入する。この液は、粘着刀いある性質のもので、長時間葉の水分を保たせる。例えば、さとう、みようばん、草汁の類が効果的である。薬品類アルコール、薄荷油、その他の剌激性薬品類に切り口をつける。以上が基本的な方法であるが、さきに述べた様に、先ず切口を水切りしてその後、種々な方法を加えることとなる。また以上の方法を―つだけでなく、二つの方法を重ねて行うこともある訳て、(例えば足もとを焼いて後、アルコールにつける)材料の個々の性質を考えて、どの方法を行うのがよいかを定めねばならな水揚のお話桑原専渓、。、し① 毎月1回発行編集発行京都市中京区六角通烏丸西入(2) かのごゆり・りんどう7月より8月へかけての美しい百合であるc白花と紅花がある。長野県よりの送り荷のりんどうを3本そえて,これは水湯げのよい瓶花である。桑原専慶流家元桑原専慶流No.11 いけばな1963年8月獲行

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