会日・11月19曰午後1時ーー4時会場・京都市烏丸御池ガスビル3階講師・桑原専渓（作品展示）主催・京都市中京区役所内参加・約百二十名（殆ど婦人の方達）右講演会の要旨を再録いたします。ブ道（講演要旨）中京区文化協議会華道のオブゼ工についてお話をいたします。近頃、オブゼエと云う言葉が一種の流行語の様に一般に使われております。このオブゼエと云う言葉は美術の中の用語てありますが、大変むつかしい意味をもっておりますので、ここではあまり深く入らないで簡単に解りやすく申上げておきます。オブゼ工は彫刻の様に立体的な形を作るものであります。彫刻、木工、金工、その他あらゆる技術を使って、これとは全く別に新しい考案のもとに創作的な形を作ろうとする作品のことであります。彫刻てない美術的な新しい造型と云うこと．てあります。従ってごれまでの形式にとらわれない新しい考えのもとに作られたもの．てなくてはなりません。目を見はる様な新しい工夫がないとよい作品とは云えません。従ってオブゼ工は一般美術の中の最も新しい近代性をもつものであって、私達の華道もこのオブゼ工を作る新しい芸術活動の中の一員に入った訳であります。日本の華道は昔から植物を材料に使って形を作って参りました。伝統的な型を基本にしてそれに基いていけ花の形を作って参りました。また盛花瓶花などもいけばなの型と自然草木の調和を考えて、種々な形を作ることが仕事となっておりまして、勿論、その中に常に新しい工夫や創作が要る訳てありますが、何れにしても自然草木の花を材料にして花瓶こ。f しかも百貨店で催されるいけばなにさすことがいけばなであります。ところが戦後、華道の中にもこれまてにない新しい造形作品、即ちオブゼ工を作ることが盛んになって参りました。一般から御覧になると今までのいけばなからはずっとかけ離れた感じの作品、華道とはどうしても思氏ない様な作品が華道の造形として作られる様になって参りまし展には、ごの様なオブゼ工作品が沢山ならん．ております。皆様がこれは一体なんであろうと思われるのも無理はありません。これが此頃のいけばなかと質問される方もあります。また、ある知識人はいけばなとオブゼ工はどこが一致するかとむ質問されます。まづ、この点からお話してみようと思います。いけばなとオプゼ工は別のもの先づ第一に知って欲しいごとは、いけばなとオブゼエとは全く別のものであると云うこと．てあります。いけばなはあくまて、いけばなであって‘普通常識．て考えられるいけばな、植物の花の材料で作るいけばなであって花瓶に挿すいけばな．てあります。これは変りはありません。ところが華道の中で最近盛んに作られているオブゼ工は、以上のいけばなとは別に新らしく開拓された分野．てあって、前に述べました一般美術の中で行われているオブゼエと同じ性質のものであります。華道のオブゼエとして特に変っている点は、華道家のいけばなの技術と考え方がこの新しい芸術としてのオブゼ工を作る場合、他の美術家の作るオブゼ工とは行き方も逢い材料の選択も違い、華道のオブゼ工は華道としての全く独立した立場と考え方を以って作られていると云う点に、特徴がある訳てあもます。華道のオブゼ工は普通のいけばなとは全く別に、華道の中に生れたものでありまして普通のいけばなとごっちゃにせないで、全然別のものとして観賞して頂きたいのであります。植物を材料として形を作ることを仕事としている花道家達が、もち前のその技術を以て、全然別の地盤．て新しいオブゼエと云う仕事を始めたと解釈して頂きたいの．てあります。また、華道のオブゼ工は華道家の作品らしい体臭があることは当然てありまして、他の美術とは別に独立した立場や表現の方法をもつことが必要てもあります。特に御注意願いたいのは、御承知の通り華道はそのなりたちから非常に大衆的なものであって、いけ花はその日その日に一般家庭に用いられるものであって、こび性格をもつ華道がオブゼ工を作っていることはどんな目的があるのか、いけ花と同じ様に家庭に用いられるオブゼ工を作るのが目的なのか、或は家庭の装飾とは無関係に会場作品として、或は商業美術の用途としてのみごれを作ろうとしているのか、その点についてであります。オブゼ工の用途ここでオブゼエの用途を考えて見ると以上のお話が一層よく解ると思います。現在、華道のオブゼ工はどんなところに用いられているかを考えて見ましよう。ー、商店のウインドウの装飾として2、テレビの舞台装置、装飾として3、洋風建築の室内装飾として4、印刷物に写真として商業用途に用いられている5、種々な催しもの（展示会、ファッジョンジョー、その他の舞台装置、映画）の装飾として6、華道展の研究作品、その他の出品作として以上の場合に用いられているのが殆どであると思います。またこの楊合、いけばな展出品の場合をのぞいて大部分は大都市のいわゆる商業ベースに乗っている訳てあいまして、いいかえれば商業宣伝のお手伝いをしている形であいます。従って現在の状態は一般家庭にオブゼ工を装飾として用いられることは殆ど少いと思われますが、将来は追々家庭にもこの様な装飾が用いられる様になるものと思つの．てあります。ゼ工のオ華(2)
元のページ ../index.html#6