テキスト1963
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出廻って、材料的には不自由を感じないが、自然の季節の花を考えて見ると8月は酷暑のために咲く花も少は1月と8月である。最近は冬期の四季を通じて一ばん花の少い季節1月にも温室固芸の花が盛んに出廻る様になり、8月も長野県あたりの冷地栽培の送り荷のものが、市場にく種類も殆ど数える程しかない季節なの.てある。それても7月中はまだいろいろ夏の花があって稽古の花にもこと跛かないが、然少くなる7月中にある花材(実も3木もい')山藤の実土用藤さんきらい枇杷の実なんてん(和種草花)女郎花りんどうおにゆりうばゆりききよう菊ためともゆり丸葉のためともひおおぎ夕霧草野かんぞうさん白草てっせん杜若返り花がんぴ姫百合天の川むべあけびつばきごれは7月と殆ど変らない。(草花)3川3せんのう弁慶草かのこゆり8月に人ると俄玉かんざしグラジオラスはすパソパスの実るりたまあざみ以上の花が8月の主な花材である。夏季の花は、色彩の重くるしい材料よりもさっぱりとした花が好ましいし、また、夏の花と云えども季節の類感のある若々しい感じの花が活けたいものである。「りんどう」は長野県からの送り荷.て7月より8月へ入っても初花の新鮮な感じのものが入って来るから、女郎花りんどう天のつる紫沢桔梗くるめ鶏頭河原撫子くかい草沼とらい尾ひまわりるりひごだい(洋種草花)スイレソアジサイカスピヤダリアジベラストルコ桔梗リーガルリリーグラジオラスアカバソサス白星かゆう以上の様に7月はまだ種類が沢山ある。これが8月に入るとずっと種類が減って(実もの木もの)ひまわり実菊の類ひおおぎ実(ルリヒゴダイ)がま高砂百合これは何によりの好材料てあろう。ためとも白合の中に「丸葉のためとも」と云う種類があって葉か丸く光沢があって美しい。「天の川」と云うのは菊科の短い草花だが、緑3葉に白いくまどりがあって、花はわびしいが夏の花の中.ても珍らしくすっきりとした材料であろ「せん0う」なさびた花をつけた和種釘花で、日本のふるさとを感じる花、静かに落着のある花てあ召盛花瓶花に用いて好ましいし日持のよい花である)「ひおおぎり実」ひおおぎは花い咲て実になって見ると、瓢々として面白く、俳趣を感じると云った材料てある「つる紫」面白い材料.てある。ひまわりの花が終て大きい褐色c実になると、これに草花を添五て活けると投人に変った趣味の花が出来る「日まわりの実にかのご百合」など、夏には珍りしい生気のあるいけばなが作れるだろう。百合の中.てぜひ活けたいClは一'リーガルリリー」である。明るい色い花とモダンな感じの葉がふさふさとして、気のきいたガラス花瓶に.ても一種挿に挿すと、活け方は上手.てなくても、ぐっと好きになるお花.てす。とにかく夏の花は小細工のないのがいい。新鮮な花をさっと人れるーーその気持を見ることにしたいものである。「カスピア」と云うのはかすみ草の花にミリオクラタスの葉をつけた様な草花て、新種い花だが新鮮な感触があって好ましい材料てある。「沢桔梗」薄紫の静かな野趣がある。山峡の水にゆれて咲く花てある。は8月に咲く30センチ程,い.洗朱〇_様く7月は暑くるしい感じだが、やが—華道京展出品作ー一① 毎月1回発行7月下旬より8月にかけて四季の花材桑原専渓編集発行京都市中京区六角通烏丸西入アナナス(枯花)黒百合・モ‘ノステラ・黒色バラ(造花)桑原専慶流家元(7) 桑原専慶流No.10 いけばな1963年7月痰行

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