テキスト1963
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6月は花も豊富にあり冷湿の気候であるからi巨持のよい季節てある。6月の花は百合、初旬の笹百合からてっぼうゆり、ちぐさ百合、いわと百合、白百合など多くその他の花も、菊の類、菖蒲、ばらなど美しい花を見ることが出来たが、今年は不順な時侯のためにお稽古に使う材料も、とかく不自由な状態てあった。梅雨が終るとすっかり暑くなり、花の状態もすっかり変ってくる。ぶつ。七月に入ると花材の日持が悪くなり、これまてとは変って白持のよい材料を選ぶことが肝心である。総じて草花のやさしい花は季節的に好ましいが、そんなものに限って日持が悪い。日持のよい種類は堅い惑じのものが多いので、その中に日持ちもよくてあっさりとした材料を、よく選ん.て捧けたいものである。特に注意したいことは、夏の花は長持させることよりも手軽にとり替えて常に新鮮な感じのする様に、手入を怠ってはならない。従って材料を分置少<挿して度々とり替える方法をとるのがよいと思う。大きい花型よりも小品を手軽に活け替えるのが、夏のいけ花の必要なことであろ色は賑やかなものよりも、淡泊な感じのもい、特に白、紫、淡紫、緑系統の材料が好ましく、黄、オレソヂ系統の色は屠苦しい感じのするものである。赤色系統のものは強い赤を小墨用いる行き方がよい。ピンクは個性に乏しい色て夏季には好ましくない。緑の中に小量の赤色、例えば山の木の緑の中に強い赤のグラジオラス小量は反対にすがすがしい感じのするものである。緑の葉に紫の花、例えば桔梗に八つ手の新葉などすがすがしい配合であろう。6月下句より7月へかけて好ましい花材を考えて見る。(木の類)どうだんなつはぜさんきらいむべみづきつばきの実つるもどきその他山木の緑(洋花類)リーガルリリーグラジオラスジラボジカユウアカバンサス宿根かすみ草ガーベラ洋種アジサイカラジューム葉(和花類)のためともゆりその他、ダリアの早咲、さんばく草、白糸草、菊の類、うば百合、てっぽう百合、ぎぼうしの類、つゆつばきなど季節の花材である。雪柳の緑がいよいよ可まり、瓶花盛花のいづれの材料としても好ましい。カラジュームの鉢造りのものを一鉢買って置き一、二枚づつ切りとって活け、暫くするとまた葉が登って来るから中々便利のよい材料てあるし、どの花にも調和のよい美しいものである。カラジュームにはダリアガーベラ百合の類グラジオラスアカバソサスききよう紫花グラジオラスなど和種洋種の草花もよく詞和ずる。カーネージョソはあるが七月に入ると日持も悪くなり感じもよくない。花器は白、藍系統の壺水盤か、反対にまっ黒の花器はさっばりしてよい。ガラス器のよい形迄忌匠のものを選ん.て、花もジラボジカユウ、ガーベラ、リーガルリリーの様な材料を入れるとよい調和.てあろう。軽い感じの山木の葉に桔梗、ふといに白星かうなどを白竹の籍に入れたのは丁度、紺染の浴衣を見る様ですがすがしい感じのするもの.てある。ききよう女郎花河原撫子おにゆり丸葉ー毎月1回発行6月下旬より7月へかけて桑原専慶流No. 9 四季の花材⑥ 桑原専渓編集発行京都市中京区六角通烏丸西入三年程以前にサンケイ百人展に出品されたもの--r・'題名どうり流れ渦巻く烈しさを表現しようというテーマで造られたものです。青竹を縦に割りその断面だけを重ねその重なりが,竹の静かな植物という感じとは正反対の,鋭どさを観る者に与えます。造形とはそういう追及をするものです。桑原完祗作品「渦」について桑原専慶流家元1963年6月獲行いけばな

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