テキスト1963
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新しい話題この頃、ホソコソフラワ!と云ってポリエチレン製の造花が街の造花屋に盛んに出廻っている。ホンコンフラワーと云うのは香港で作られて日本へ輸出される造花で、聞くところに依ると製作技師はイタリア人でエ賃の安い中国人を使って大量生産をして盛んに輸出しているとのこと.てある。日本製の紙や布の造花は到底、太刀打出来ないほど精巧な品ものが作られるので、国内の造花製造業者に大きい影響を与えている。曰本てこれに対召してポポリエチレン造花ホンコソ製にはかなわないといった現状.てある。見た。いけばなは云うまでもなく自然の.てある。どの位い精巧な造花が作れリエチレソの造花が作られているが、只今のところ作品と値段の点て私も二三年前から出廻っているこの造花を注目していたが、まだまだ造花らしい嫌らしさがあり、問題にならない程度の品であったが、最近になって、ホソコンフラワーの品種が増え、いろいろな花が作られて来、またその製品も真実に近いものが出廻って来たの.て、この段階になっては花道家として真面目に考える必要があると思っので、今月はテキストの話題としてこれをとりあげて花をいけることがいけ花である。草木花葉の新鮮なうるおい、花の色、香り、これを花瓶に活けて飾る。数日して花がいためば新しい、花を活け替えて飾る。ここにいけばなの自然に接する味わい楽しみがあるわける様になっても自然の花に及ぶもの.てはない。ところがここて考えねばならないことがある。それはいけばなの用いる場所てある。私達は花を習い家庭に花を飾る。従っていけ花と云うと殆どの場合家庭のいけ花を考える。しかし乍らいけばなは家庭の花だけではない。最近いけ花を用いる場所が段々と広がって来て、例えば毎日の様に見るテレビの装飾にいけ花が飾られていること、商店のウイソドウーに洋風建築のホールに、駅頭の飾り花に、大きな街の交叉点にもよく花が飾りれている。この様にいけ花の用いる場所がひろがり、そのいけばなの性質が家庭のいけばなと全然異る場合、普通のいけ花とは別に考えねばならないことが生れて来るのは当然.てある。いけばな展に出品する大作に普通の花材.ては余りにも力が弱く、強烈な色彩がいる場合がある。まっ黒の花、金色の葉の必要な場合もある。「花道のオブゼエ」.てお話した様に家庭のいけばなとは全然、別な考え方の要る場合があって、この様な普通のいけ花てはない特殊な用途に使う場合は造花もまた必要な材料となって来る。自然の花の(なまの)潤いとか、花の色、葉のみづみづしさも受入れられない程の強い用い方が生れつつある訳である。具体的に例を話して見ましよう。テレビに写る花の場合、「なま」の花てあることも勿論必要だが、造花の盛花てあってもよい場合が多い。先日、私は東京へ行った。同時もそうだが慌しい時間のうちに銀座へ出て、松坂屋のウインドウーを見た。松坂屋のウインドウーを見ることは私が東京へ行くときの―つの楽しみなので、この日も時間を割いて見に行ったのだが、最近、ポリエチレンの造花を実に巧みに使って造花の芸術を作っている。白黒の写真をバックにして青、朱、黄、紫などポリエチレン造花を配合して、造花という感じから離れた別の美術的な造型を、作り出して居ったことは感心させられたの.てあった。この様に、造花は「なま」を作り出そうとしている現状て、香港フラワーのポリエチレソ造花が大きい役割を果している訳てある。ここで私達はごんな方面にも大きく目をひらきたい。造花のもつ用途、造花の用い方、今曰の花道としてポリエチレン造花をどの様に受けの花とは別の芸術世界⑥ 入れるかに就ても考えてみる必要がある。ここ.て、誤解をしない様に願いたいのは、私はポリエチレソ造花に関心をもっておるが、決して皆様におすすめするのではない。今後、徐々に花道の中へもいろいな形.て行って来ると思われるこの造花に対して、先づそれを知り、更にひろやかな気持をもって研究すること、これが大切だと云うの.てある。この話の始めに申士げた通り家庭のいけばなは、あくまで自然の花を材料として活けることが最もいい訳て、当流のいけばなは、そんな点について特に品格のある自然花の研究につくしている訳なの.てある、ホンコンフラワーが、或は地方の都市や農村では見る機会のない方もあると思われるは、只今では大きい都市の造花屋へ行けば殆ど売っていると思うので、その方達には常職を養う意味に解釈してお読みを願いたい。この頃、街か造花屋へ行くと吉の中は殆んどホンコンフラワー・てある。盛り場の生花店〈入No.1

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