テキスト1963
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> 3古る3けばなには大切な言葉てある。「うるおい」は水のしめりあること、自然の恵みの意に通じる。いのあるいけばなの意てある。うるおいのあるいけばなとは、水々しい水のふくみある花、即ちよく水揚げた花と云う意味と、また一方には、いけばなの技術がのびやかにのどかに、楽々と入ったいけばな、花の自然といけばなの技術がよく調和してひろやかな感じに見ることの出来るいけばなと云う意味でもある。潤、「うるおい」と云う言葉はい「潤花」と云う言葉がある。うるお桑原専渓いけばなは潤いのある花てあるごとが大切てある。初心者の花はうるおいのある花が中々作りにくい。ごれは花型を作ることに一生懸命であるから余悠のあるのどかな花が作りにくい。技術が上達するにつれて花材の扱い方にも余悠が出来、花葉枝のなぶり方も軽くなり、さばきもざんぐりとなって行く。ここに潤いが生れて来る。要するにいけばなの「うるおい」とは活け上った花が水分に満ちた水々しい花てあること。技術的にのびやかな感じのいけ花てあること。この二つ.てある。上手の人のいけ花を見ると楽々とのどかに見られ、花葉の色が活々として見える。これは材料のなぶり方も違っし、時間も早く順序よく手早く活けるので材料もいたまない訳である。花を活けるときあまり永く時間をかけるとよいお花が出来ない。丁寧に活けるのだからよいはづなのに出来上ってから見ると、いいのか悪いのか解らない様なお花が出来これはそび活花がす.てに新鮮さを矢っている場合が多いのである。いけばなは活きた花を扱うこと.てあって限度以上ぴ騎間がたっと、材料の花葉は段々と鮮度を失って色も落ちて行って、やがてはしおれることとなる。うるおいは水分.てあって鮮度を保つ原泉である今―つ大切なごとは活ける人の心にうるおいびあるごとがよいいけ花を作ることとなる訳て、なり.身体も心も疲れはてて来ると、劉底満足な花は入らない。材料は傷み心は疲れその結果は更に材料を粗雑に扱うこととなる。その時間はどの位てあろう。これはその季節や材料を種類に依って異るが、普通の場合は―つのいけばなを一時間以内.て活けることである。それよりも手早く活けることは更に望ましいこと.てあるが、いたづらに粗雑に早く仕上げるごとはよくない。順序よく早く注意深く活けることである。それは「うるおいのあるいけばな」を作る要諦てある。馬をよく乗りこなす人は、人馬一体となって軽くリズムに乗って走る様に見える。いけばなもこれと同じ様に、花材と活ける人の心とがよい調和をもって活々とした潤いのある時間のうちに軽やかに活け終ることが望まし、。''vc花も葉もつるおいを失均問が永くみづぎわはいけばなの大切な部分である。伝統の立花、生花の熾合もみづぎわを美しく作ることについては特にきびしく教えられる。新しい花の盛花、瓶花G場合も同じことであをみづぎわを美しく作ると云うことについては、どの場合にも特別の技巧が要る訳てある。典のいけばなては足もとを―つにまとめてひともとの水ぎわい美しさを作る。盛花瓶花の場合は株もとをらくに挿し空間を作ることが普通てあるから、水ぎわは不揃とない見苦しくなる。それを美しく見せるためにはどうしても水ぎわに下葉を多く使って足もとをかくし、更にその下葉をよく整理して美しい葉揃いを作るこれが普通の挿し方である。ところが、水仙、花菖蒲、ふといアマリリス、アイリス、ラッパ水仙の様に、足もとの茎と葉が美しい直線をもっている材料は、特にかくす必要はない。むしろ美しい足もとをかくさずに仕上げる方が個性のある花型が作れる。このページの写真は「たまやつつじ、チューリップ」の二種の盛花て、左方へ株もとをよせ右側にはつつじの足もとをあらわに見せて、空間を美しく作っている。左方にチューリップを寄せて重心をとり、右方は楽な感じに空間をとった変った花型てある。水ぎわに工夫のある作品である。うるおいみづぎわ① 毎月1回発行桑原専慶流編集発行京都市中京区六角通烏丸西入(盛花)つつじ・チューリップ桑原専慶流家元1963年3月獲行いけばなNo. 6

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