テキスト1963
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この月の作品(4、5ペーヂ)はいづれも創作的な花形.てある。そのうち三つは対照型て特殊な花形てあり、かなり自由な考えて活けてある。初級の人達にはわかりにくいかも知れない。一体、盛花瓶花て云う目由釧作とはどの程度のことを云うのだろう。基本花型と応用花型、特種花型、創作と四段階に別れているのだが、これについてはっきり理解されておらないと、それぞれの目的が解りにくいと思うの.て、その点についてお話して見よう。これについては盛花瓶花の教科書」てかなり詳細に解説して置いたが、更に補足して解説する。基本花型は盛花瓶花を初めて習う人達が繰返し練習する花型てある。枝の出どころ、長さなどが定型的に定った規格の正しい花型であって、この花型を幾度も習って最も安定のよいいい格好を早く覚え、傍ら、花葉枝の表裏、すきあい、配列などの組み合せについて練習する。そして基礎的な技術を覚える訳てある。基本花型「新しい生花しかし自然の木や花が、基本型を活けそのに都合のよい、おとなしい形のものばかりではない。いろいろの草木の中には変った枝振りのもの、花葉の姿のひろがりのあるもの、その他の多くの個性をもつ材料を一定の花型にはめる様な考え方は、時として材料を殺す無盾が生じて来る。奔放な変った姿の木やのびやかな草花を、つづめて型にはめる様に活けるのは残念だと思っ場合もある。それならば、基本花型に活けずに自由な形に活けて花材をのびやかに使えばいい訳だが、これては花型が理解しにくく返って上達がひまどることとなる。やはり基本型をしっかり勉強して、いけばなのバランスをよく理解して、その上、応用花型にすすみ、更に自由創作にうつるのが最も確実な上達の方法てある。そこ.てこの無盾を少し和げて融通のつく考え方をして見よう。基本型に入れようと思っときは、はじめからそれに適当な材料を選んで特に変化のある形の材料を用いない様にする例えば「雪柳、チューリップ、菜種」「つげ、菊、スイトピー」の様に無理なく基本型に入り、しかも自然をこわさない様な材料を選ぶのがよい。梅、椿、ボケ、松の様な変化の多い枝の材料は応用花型を習う時の材料にする。また例えばばら、せんりよう、春蘭、大輪菊の様な材料は自由な花型に入れてこそ、その材料を活かすこととなる訳で、これを基本型に入れて枝葉を切りすかしすると、返って窮屈に見え花が活きないこととなる。基本型に活ける材料は大体において、直線の材料、おとなしい曲線の形のものが丁度よい格好に作れる。基本型の中でも控主型、中間主型となると少し変化のある枝や、ひろがりのある草花てないと格好が作りに主型から始めるのがよい。次に真主型、次に留の長い留主型と進む。この辺までが稽古の第一段である。これを繰返して勉強する。やや技術が上ってから胴主型、控主型、中間主型と進むこととなるが、この花型になると普通のおとなしい枝ては入りにくい。少し変化のある材料、或は形の変った種類の木ものを交えて入れる方が形が作りやすい。従って初めて習う人は、副主型、真主型、留主型を習い、その後に胴主型、控主型、中間主型と進むのが適当てある。応用花型は基本花型をやや崩した花型である。自然の花葉枝の変化のある姿を活かしてそれぞれの役枝が< 基、。し本型を習う場合はまづ第1に副応用花型短い場合も、長すぎる場合もよく、よい花型を作るために作者の判断に依って適当に定める。基本型の真、副、胴、留、控、中間の六つの役枝のうち、時として一っゃ二つない場合があってもよい。基本型に副うてそれを応用しつつ独自の判断と、草木花の自然の形を巧みに利用して、のびやかな花型を作ることとなる。また、例えば基本型のうち、控主型の様に控の長い調子を利用して形を作り、これとバランスをとって中間を長くする中間主型の形。あの形を二つ重わて応用する様な考え方も面白い。作者が工夫してよいバランスを作り、調和と釣合のよくとれた形を作ればよい。ただ‘―つの制約は、基本花型の中に於てと云う考えを忘れてはならない。花型をすっかりこわしてしまうと応用と云う意味がなくなり、中途半端の形になり易い。これを注意して欲しい。ごの応用花型は、当流の伝統.てある古典立花の行中行の花型の考え方をこれに用いたので、型を崩さないて作者の考えを充分に活かし得る花型てある。また自然草木の形を充分にとり入れ活かすことの出来る花型でもある。瓶花の場合も盛花の場合も同時である。特殊花型3二面型4三面型5多面型6平面型桑原専慶流の元禄時代の伝書「立花時勢粧」の中に特に定められた特殊花型について、その解説と図録がある。ー、請上り立(うけあがりだて)2、水際除(みづぎわのき)3、流枝持立(ながしもちだて)4、内副立(うちぞえだて)5、請流枝(うけながし)6、中流枝(ちゅうながし)7、左流枝(ひだりながし)8、請正心立(うけしようしんだて)以上の八つである。これは江戸時代より伝った桑原専慶流の優れた花形てあって、その定め方、その形式の高い芸術性は、現代花道の基礎となっているが、ここに新しい時代のも、この伝統の考え方が入っている盛花瓶花の特殊な形を選むに当って訳てある。勿論、以上の立花の形式の定め方と、今日の盛花瓶花の形式とは全然異るものだが、特徴のある花型を別に選んで、特殊型とし、研究しようとする態度は、伝統の考え方を踏襲したものである。左に掲げる特殊花型はそれぞれ特徴のある花、その用い方など普通の場合とは全く違うものである。1、つりばな8、合体花型2、かけばな9、対照型10、分体花型11、並列形式12、応用花器に依る作品7二作構成13、小品花(次号につづく)盛花瓶花の花型について(6)

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