テキスト1963
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(次号へつづく〗)ー立花J今年こそ、いいお花が活かる様に勉強しましよう。皆様。お花を活けておりますと何時しか春になり、初夏のかきつばた、すいれんの季節となり、やがては秋の紅葉を迎える様になります。当然のこととは云いながら身近に迎え送る花を見ていますと、自然のあわただしいうつり変りをとりわけ深く感じるものです。今年こそお花が上手になりたい。そのためには先づ、春夏秋冬の花材について基礎的な考えをもつことが必要てす。四季にある花材の種別と性格。それらの材料の用い方。いけばなへの考え方について研究することが必要てあります。四季の花材①桑原専渓この原稿.ては、この様な材料に関する必要な考王方を四季にわけて書きつづけて参ります。近頃は園芸技術が発展して、菊など一年中、いつでも見られる様になり、カーネージョンも四季に咲き季節感にとまどうことがよくあります。しかし乍ら、ひろく大きく考えて見ると春夏秋冬の草木花の分類は大きくはっきりわかれており、春夏秋冬に咲く花がそれぞれ異った形と色彩と個性をもっているごとは当然.て、私達、いけばな人が常に注意せねばならないところです。私達のいけばなにも四季の感覚が流れている様に、その季節に依って活け方、配合についての注意が壬るごとが大切てあります。四季の感じをあらわし作って行く訳です。この原稿ては1月より12月に至るいけばな材料を考え、お稽古をするときどんな注意が要るかと云うことを、書きつつけて参ります。1月より2月中旬ま.ての花材について考えて見ましよう。このジーズンは、A、温室咲の草花が美しい。和花洋花が色彩も美しく咲く季節。温室花のジーズソ゜B、温室咲の花木ものの季節。桃、桜、さんしゅ。木蓮、ぼけ、などの木の花。C、梅、元日さくら、黄梅、沈丁花など自然に咲く材料がある。D、つばきの季節。E、水仙、なたね、等の自然咲草花。F、木ものかん木類の芽出しもの。G、常緑樹及かん木類。実つき木物。やなぎ、土佐みづき、鶯かぐら等。H、らん、しやが、おもとの様な越冬性草もの。大体、以上の様なものがいけばな材料となりますが、この季節には花木ものに根メをつけて調子をとるいけばなが多い訳.てすが、室外.ては早春の枯れがれとした季節であり、自然、材料は極めてわびしい姿なので温室花を根メにつけて色彩を添えます。或は温室草花を主に自然草のラン、ジダ、イワカガミの様なものをつけて、いけばなの落着いた調子をつくることもよいでしよう。特に注意することは、梅、桜、木蓮の様な花木ものは形がしっかりしていますから、強く立派すぎて返って平凡になる例が多いですから、つとめて軽く活けるとよいと思います。しつごくならない程度の淡泊な感じがよい。つばき、なたね、水仙などもつとめてあっさりした方がよい。新年に入っても菊の温室ものの大冬季、早春輪ものが見ゃれるが、菊はなんと云っても夏秋のもので冬や春には感じのよくない材料です。新年花が終った後しばらくの季節、用いないのがよいと思います。冬のジーズンにはカーネージョン、バラなど紅、赤系統の強い色を盛瓶花に小量まじえて挿すと引立つものであります。この季節は生花(せいか)の基礎的な勉強をするのに大切な季節.てあります。一月より三月へかけて自然の木もの、漏室の花木類が多く生花に適当な材料が豊富にある。しっか灼技術の練磨をしましよう。水仙は1月がジーズソ。葉組の練習をする。梅に椿。はんの木なたね、猫柳行李柳の一種挿。ばらん、彼岸桜、さんしゅう等、よい材料が沢山あります。瓶花盛花にアカジャ。猫柳の銀色のつぶらな実。なんてん、せんりよう、からみづきなど実ものの色も冴えて美しい季節.てす。桜の中に元日桜と云うのがある。一月に入って紅色の美しい花が自然に咲きます。ろう梅(淡黄色)も一月に咲苓ごれは騰月に咲くと云うので名付られています。寒紅梅ーごれも早咲の自然咲て二月には咲き花はわびしいが風雅な姿をしています。黄梅と云うのはつる性のかん木で枝が緑で可愛いい黄色の花が点々とついて咲く。「黄梅や枝は緑に春の色」と云う句を想い起します。べにつげlは山陰地方の山地に野生の材料で、形が矮小屈曲してひきしまったいい格好をしています。冬になると葉が紅褐色に紅葉して美しく季節材料として好ましいものです。これ毎月1回発行編集発行京都市中京区六角通烏丸西入桑原専慶流家元いけばな元旦専渓作(1) 桑原専慶流No.4 いけばな1963年1月獲行

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