1962
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水揚もよい訳です。どの花にも幼年期、成長期、老衰期があります。私達が花を切る最もいい時期はその材料の体質のしっかりとした色彩の充分美しくなった頃(成年期)の材料を切って活けるのが花姿もいい訳であり、水揚もいい訳です。萩、藤袴、はけいとなど初花は水揚悪く盛期に入ると水揚がよくなります。すすきかるかやも同じことが云えます。すすきの葉にひるがをの巻きついて花の咲いたのがありますが実に風雅であり、籠や竹の花器に入れてりんどうなどをあしらうと実に風雅な投入となります。すすきの葉の悪くなったとき、尾花だけを数多く用いて盛花などに生けるのも面白いものです。この場合にはグラジオラス、ダリア、カーネージョソなどの洋花もよく調和します。また葉のない尾花に葉らんの小葉や紫蘭の葉などを添えてあるのもよい感じで、また淡褐色、銀色の穂をモダソな色調と考えて配合することの出来る実にはばの広い花材です。洋種のススキ「パンパス」は一般的に用いられる材料ですが花屋ては殆どの場合、葉がついていません。パンパスの葉を知らない方が多いと思いますがこのパンパスの葉もやはり薄と同じ様な姿をしていますが、葉が鋭く手を傷つける心配がありますので葉を添えてない訳てす。水揚は普通のすすきよりもずっと良く永もちします。アカジャ、ユーカリ樹と同じ色の白緑色をしています。すすきの配合材料例(瓶花盛花)大輪菊、中輪菊各一種単弁小菊各一種(山菊)カーネージョンりんどうはけいと、菊夏はぜ、りんどうグラジオラス、白菊りんどう、かるかや中輪菊各一種りんどう菊、秋海棠菊、りんどう紅山菊この盛花は。ハンパス、むくげの――種。花器は辰砂(シンシャ)盛花器。むくげは祇園守(ギオンマモリ)と云う品種のものです。(ギオンマモリ)には白と紅色とあって京都では七月中旬祇園祭の頃より九月まで咲きます。この写真の盛花は実際に見ると色彩が美しいのですが、写真ではむくげと。ハンパスの間が少し淋しく見えます。紫蘭の葉を小凪加えればよかったと思っています。パンバス、紫蘭の葉、紅色のパラの配合もこの盛花と同じ感じになることと思います。花器は横に狭く長い形ですから、花器の両端をすかせてあります。花はさみは変ったものよりも普通のはさみがよい。稽古はじめの人がわからずに買って来て困るのはバネつきのはさみである。足もとに輪がバラついていてはづすとバネ.てはじく仕掛のはさみ。あれが一番よくない。使う時に使いにくいし、輪がかかると今度ははづれにくい。少し時日が立っと中のバネがいたん.てあけしめがだめになる、そうなると全然使いものにならない。またキバサミと云って、これは昔からある形だが持つところが大きく二つの輪になっているはさみ。これは力が入らないから草花にはよいが太いものは切れな、。、し切れ味のよいよく切れる鋏を使はないと美しい仕事は出来ないしよい生花は作れないものである。太い木ものは鋸を用意して荒切りをして細部をはさみて切る。太い木も細い葉も一丁のはさみで片附ける様なのはよくない。丁寧な手入れするためには刃先の細く尖った手工はさみも用意する。葉のこんだ中‘枝のこみ入ったところは普通のはさみが入らない所がある。その時に刃先の細い手エはさみをさし込む様にして切る。技巧美しく仕上る訳.てある。普通の花鋏と手エ鋏と二つ用意するとよい。剪定鋏(せんていはさみ)て菌芸用の手ごつい鋏がある。太いものを切る時や、山野へ材料採集に行く時には大変重宝な鋏.てあるが普通のいけばなには適当てはない。先が曲線に作ってあっていけばなのこまかい仕事は此の鋏てはやりにくい。新しく花道を習う人は変った形の花器や、変った形の鋏を買いたがるがこれはよくない。よく先生に聞いてから買う様にしたいものである。靱山(けんざん)の月とみか月を組み合せた日月と云う形のもの。これも使いにくい品であまり役に立たない。鋏は東京の洋鋏、兵庫三木の裁縫鋏、岐阜県関、大阪府堺、博多鋏などそれぞれ特徴のある鋏の産地だが外国てはスエーデン、ドイツの鋏が有名である。先日、佐藤栄泉氏よりスエーデンのバーコの鋏和頂いた。バーコは世界一のエ具のメーカーでその製品はどの国の製品よりも優れている。これは剪定鋏.て甫接いけばなには使いにくいが花材採集や立花の材料の太い木を切る時に重宝てある。形が異風な感じて趣味の蒐集品の意味て大変珍らしいものである。とにかくいけばなは鋏が第一の道具てあるから常に手人をすることが大切である。⑧ と云っク刃花はさみクククククククククク薄

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