1962
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お花を活ける—ー下級品は花が咲く前にしおれるー—これが賢明な考え菊3J3l「もういくつ寝たらお正月」、早いものです。今年もどうやら12月になりました。りぼやけて年賀状の感覚も大分うすれて来ました。それてもお正月。お花だけはすっきりと活けて美しいお正月を迎えたいもの.てす。さて12月に入ると花の材料も特別に変ったものもありませんし、12月でないと見られないと云う特徴のあるものは殆ど見当りません。園芸屋も花屋もお正月の花の準備て目の色を変えていますし、おけい古花さえも中々勉強しませんうちに変った花もなく秋の残花など活けているうちに、いっしか15日をすぎると、とたんにお花の値段が上ります。大体、年末20曰すぎになるとすべての材料の値段が平素の3倍に上ります。これは昔からどこの土地ても共通の状態て、あたり前と云うこととなっています。1本10円の水仙が20円になり、20円の菊が60円にもなります->花屋の弁に依ると、盆部屋もの)ー漏室材料ーーと入替って、今まて畑て咲いていた花がすっかりなくなって、遠方Oi暖地よりの送り荷か温室育ち01材料と入れ替買い方えらび方迎春花の.て)お花はどの材料も平素の3倍と近頃はお正月もすっかかかり10日の年末の材料ばすべてるジーズソであること、年末に厖平素お花を活けない人達も一斉に花を買いますから、需要に供給が追付かず自然に値段が上るのは当然、と云うことです。年末の(二十五日以後三十一曰ま云うと、先づ最低、二00円から最高二、000円程度まてが‘―つのお値段てす。土地に依って価格が異りますが、例えば京都て若松ひと生分、二五0円が東京.ては五00円にもつきます。そこで、なるべく気持のよいお花を比較的お安く活けるにはどうすればよいかーについて考えてみましよう。一年に一度だからそんなケチなことは云わないて、と云うお方は目をむっていて下さい。先づ活ける日は、二十九日か三十日が一ばんよい早く活けると悪くなるし、後になると花屋の材料がいいものがなくなりこ凡皆様の御都合でもっと早く活けねばならない方は、活けた花をそ竺苓ば紙て巻いて大切に保存しておき、30日頃にとり出して活け言す若松はあまり水を多く入れると葉がバラつきますから早く活けた場合は水を少く入れて日が近ついてから水を増します。(この場合、花器に食塩を小呈入れて置くとよい)何より必要な考え方は、材料を買うとき、分墨少くともよい花を買うことです。値段の安いわりに分量の多い材料を買わぬことです。いい質の材料を数少く買う。これがよいのです。皆様御承知の通りいけ花は大きいから良い、小さいからつまらないと云えません。分量少くともよい方てす。年末の花は、一級品、二級品、三級品と云う様に同じ花ても等級がはっきり別れています。例えば、バラ(昨年一級品一本二bo円)でも一級品は首もと、花軸、葉などしっかりして水揚よく安全に咲きますが、と云うことになっています。第一、軸がふらふらして活けにくい訳てす。この様にどの材料てもいいもの悪いものが等級別に定っているのです。すぐしおれる様なバラ3本より美しく花の咲くバラ一本のほうが、どれ程よいかわかりません。また温室咲の三級品の花(例えばスカジュリの柔く悪い品)よりは、水仙のすっきりとしたものの方が値段も安く感じもよいと云う訳てす。せんりようもまっすぐに立った幹のしゃんとした実つきのよいものは高級品て、横枝の曲ったもの実つきの悪いものは下級品です。菊も百合もカーネージョンもどの材料も同じ様な考王方で見て誤りはありません。はじめからすっきりとせぬ材料では、よいお花が出来る訳はありません。そこで分量少くともいいお花を買ぅーこれが最もよい方法です。従って花器も小型のものを選んで淡泊に上品な花を活けることです。例えば小松1本カーネージョソ3本(赤)水仙2本せんりよう2本(赤)3本ばら2本(紅)水仙3本紅つばき少々ろうばい白つばきテッポウユリせんりよう(赤)若松2本カーネージョン3本花器もこんな場合は小さい花器を選んで、細口の壺、小型の水盤などを用います。また新しく青竹の寸筒切(ずんどうぎり)の花器を切って、それに活けると分量も少くて新春りしいお花が出来ます(瓶花)例えば花器、膏竹寸筒雪柳(開花)スカジュリなど調和のよい花となります。特によい材料を選んで買います。カーネージョソも上級・下級と随分違いがあります。いいものは日持ちよく花も大きいから活けてから感じのよいものです。ハボタンは品格のよくないもので特に広間の装飾花梅べにつばき(瓢雪昇)も選び、花器も変え、活け方も大小ーネージョソラ(紅)として用いることもよいが家庭の花にはよくないものです。ハボタソの種類の中に紫黒色の「踊りはぼたん」と云って足の細く長い変ったものがあります。古い種類のもので今では少くなりましたが、これは色もよく形も風雅て上品に見られます。カーネージョソなどと調和のよい材料です。菊は白の一文字菊がよく、その他の色の中菊大菊はよくありません。黄色の単弁菊の咲きぎわの美しいものがありますが、アイリスと配合して調和のよい材料です。以上は普通の家庭の新年花のこと.てす。特に広間の花とか幾つもの部屋を賑かに飾ろうとする場合は、これとは別の考る方が要ります。ーそんな場合は数多くのいけ花がそれぞれの部屋に依って趣の違う様に、材料を交えて活けるとよいと思います。最近クリスマスにお友達など沢山集ってパーティーをせられる家庭が多い様です。クリスマスのいけ花はつてもよいから豪華な盛花を活けるとよいと思います。テープルの中心にやや低く挿した四方正面の盛花。美しくまる<盛って賑かな感じの花がよい。例えば菊、カーネージヨン、アカジャなど低く活けて散会のときににその盛花をこわして小さい花束を作りお客様に差し上げます。美しい贈いものとなります。松カ小柳せんバりよう一種挿(7)

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