1962
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9ヽー美しい緑のお松、引きしまった葉、こぢんまりとよくまとまった松てす。しらたまつばきを根メにつけて土色の土器様式(ドキヨウジキ)の花瓶に活けました。花材が落ついた配合てこれは新年の瓶花として適当な花です。花材は少し定り型の配合ですが花器の形が変っていますから明るい感じを受けます。花型は右勝手の斜体(副主型)です。椿をたっぷりと用い、胴、中間、控、留、の位置へ花葉の出る様に配置してあります。花器の口辺をかくさず少し左方より見ると花瓶の形がよく見える様に挿してあります。瓶花のどの場合にも花器がよく見える様に挿すことは必要なことであって、殊に口もとに変化のある花瓶はかくさない様に注意します。この瓶花は床の間に一行ものの書軸をかけて飾りつけたならば調和するてしよう。花器の中へ細山を入れ、松の足もとは長いめの竹片をはさんで丁字留で留め、椿の一部分をけんざんに挿します。類例配合松松、、紅つばき(妙蓮寺)松、紅色バラ松、アンスリーム(洋蘭)白つば送洋種の一文字菊です。豊かな白い花弁。花の中心に淡黄の芯のある大輪咲てす。ばらは淡紅色2本、濃紅1本に堅いつぼみが控に入っています。(花器は青磁水盤)この2種の材料は年末まてずっと活けられる花材で迎春の盛花として適当な配合です。花型は左勝手の副主型て、真、副、胴に菊を入れ留、中間に淡紅のばら1本、つつ、前方低く(前置)に濃紅1本を入れ、控につぼみ1本を入れました。たっぷbとした菊の葉とばらの葉が美しい緑色て、全体が豊かな感じに作られています。ばらは花屋で買った3本のほかに庭のばらのつぼみ1本を控に用いました。この盛花は基本型でやや堅い感じがしますが、前号テキストに掲載の菊の盛花の様に豊かな感じの中に引きしまりのある花型て技巧的な盛花と云えます。籾山を左前隅に寄せて挿し、右方のすく様に活けてあります。年末になるとばらも温室咲の品種となるから葉の少いときは、普通のばらの葉(庭の)をあしらって活けます。菊の葉をよく整頓して技巧美しく活けます。一文字菊、£ら方がよいと思います。外国人は花の香を大切に考えます。中国でも花の香をいろいろ工夫して用いています。例えば衣服の中にいい香の花をしのばせたり、袖口の折り返しに花をはさんだり、入浴のとき香のある花を湯に浮かせる習慣があるときいております。も五月に菖蒲の葉を風呂に浮かせますが、これは考え方が少し違う様です。日本では昔から花の香を詩歌によみ、文章の中にもたたえられているのに、実際には意外に注意されておりません。花の美しさは見るが香にはそれほど関心がない様です。殊にいけばな人種は形を作ることには努力しますが、花のもつ香には注意することが少い様です。「まつりか」は中国の花ですが、すずらんの様な短い草花が白い花を咲かせてやさしい香がします。姿も中国の乙女を思わせる様な美しい感懐をもっています。「沈丁花」これも中国で愛される花てす。日本の花で特に香がよくて愛される花と云うのは少い様です。「梅の香」と云いますが、これはあまりにも象徴的て実際的てはありません。いけばなに花の美しさとともに、香りのことも考えたいものです。日本て(5)

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