1962
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淡青色のアイリスの花3本、しやがの葉少々、淡黄色の山菊3本の盛花てす。花器は濃い緑色の陶器てす。菊の葉と同色だが花器の方が少し淡い色てす。菊の葉の群りに対して細い曲線のアイリスとしやがの葉。美しい形.てす。花器の腰もとが細いのであまり重い感じの花は入れられません。初花のアイリスなので葉が短く淋しいのでジャガの葉を添えて調子をとってあります。この二三枚の葉てこの盛花全体がのびやかに見えます。上品な趣味の中に軽やかな感じの盛花ですが、色彩もアイリスの青色、さんぎくの淡い黄色を配合して花器は葉色と同じ系統の緑色を選んでいます。静かな色の階梯\そんな感じがいたします。アイリス、ジャガの葉をのびやかに左右へ出して、さん苔く、しやがの葉この三種はいづれも細くやさしい材料てすから、花葉の重なりや空間を美しくさばいて活ける様に注意します。アイリスはわざと開花のものを三本えらびました。つぼみよりも開花の方が形がよく殊にアイリスは開花してからも日持がよく色彩も美しく見られます。11月より12月初旬までの初冬の盛花です。赤い実のさんきらいには残りの黄葉が二つ三つ付いています。豊かな形の白玉つばきを添えて落着いた感じの盛花です香りをしみじみと感じるお花。いけばなは美しい花の中に季節感の深い花も活けて、いけ花を見て、もう冬だな|ーと感じる様なそんな作品も必要です。さんきらいには白中菊、山菊などもよい調和てすが、白つばきとの配合は殊に上品な感じです。この花型は副主型を(斜体)を少しくだいた形.てす。らいの枝の立ち上りのところが普通とは少し変って見えます。枝振りに依って自然に出来た花型てすが、真と副が並行する様に左へ流れ空間の形も変っています。基本的な枝の配置の中にもこの様な面白い形を作ることが出来ます。花器は熱帯樹をつくり抜いて作った珍らしい花器てす。口辺と底辺にさびたジンチュウの金具がついています。東南アジア方面の仏器てないかと思います。籾山.てとめてあります。床の間に調和のよい花です。さんきらい。白玉つば苔、水べつづいた菊の秋から漸く初冬の真のさんき花のかおりについて考えて見たいと思います。花を活d香な人が多い様てす。四季の花の中にける人達は案外、かおりには無関心はかおりのいい花がいろいろあります。例えば、梅、沈丁花、きんもくせい、くちなし、バラ、フリーヂヤ、チューベローズ、ジャズミン、マツリカの様な花はよいかおりがします。これと反対に、ユーカリ、リークボール、けしの花、クジャク草、女郎花、などは全く嫌な香のする花.てす。きんもくせいや沈丁花の庭に咲く頃はその花を見ない.ても、風が送るいいかおりに季節のうつりかわりを、思い起すものです。やさしい花だのに女郎花のにおい、モダンな姿のユーカリ樹、いづれも姿の似合わない嫌なかおりです。夏のおけい古花によく使うリークボール。頭が痛くなるかおりです。いけばなには形と色のほかに香のこともよく考えねばなりません。しめ切ったお部屋に嫌な香がこもっているのはよくないことです。美しい花であると共に、いい香Ol.する花てありたいと思います。四季の花材の中には香の強い材料は数少いがそれも心の中に置いて材料をえらびましよう。リークボールなど一種の流行的材料ですが、用いない(,4)

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