1962
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のです。壺は以前のものは大体、寸法が高く枝葉を垂れさせて活ける場合が多く、文人生(ぶんじんいけ)と称する趣味が流行して花器もそれに調和する背の高い花器が多かった訳です。今は瓶花の考え方も変っていますから、背の高い花器はうつりが悪く、9センチ程度のものが安定感があり、どの花材にも調和のよい形です。水盤は朝顔型になった腰高の水盤が活け易く、水のたっぷり入る形のものを撰ぶことが大切です。近頃、水盤の口辺の変型に意匠をつけたものがありますが、花うつりが悪く、いい趣味ではありません。変った形の花器が欲しい何か新しい感じのいけ花を作りたいと思?uき、花器の新しいデザイソのものがあると感じが出しよい訳てす。普通の盛花、瓶花を越えてもっと意欲的な新しいいけ花を作りたいときには、先づ花器のことを考えるもの.てす。また、家庭の花としても、新しい感じの明るい花器に入れてみたいものです。これは普通の瓶花、盛花の考え方から一歩進んで意匠的な花を作ろうとするの.てあるから、花器にも変った形のもの、珍りしく新しい感じのものが欲しくなるのは当然です。花器に依って意外なほどよい感じを作ることも出来るのところて変った花器は買うのも難かしいし、.てす。それに誦和する花を活けることも中々むづかしいもの.てす。此の頃、花器屋へ行くと変った意匠の花器が沢山並んでいます。その中から新しい感じをもつ形、色調、考案のあるものを選んで買う訳てすが、何より必要なことは、ー、いい意味の新しいデザインを見わけること。2、流行にのらないこと。3、真実の新しい感覚、形、色調のものを見わけること。4、花を活けた場合、いい意味の新しさを出すことの出来る花器か。5、花器てある以上、活け易いかどうか、どんな花でも入るか。6、どこへ飾る花瓶か。家庭の花瓶か。商店の店内装飾やウインドウに使うためか。花展に出品するための花器か。そんな点を考えて撰ぶことが大切です。別項の原稿て書いた様に、近頃、陶器も変ったものが専門苫に並んでいますから、充分注意してそり・中のほんとの気持のいい、嫌な趣味でない。真実の新しさをもつもいをお選びになることが大切.てす。どのお花にも使える花器を買う壺ても水盤でも、どの花にもよくうつると云った花器があるもの.てす。沢山花器があっても何跨てもその花器を使うと云うーその様な使い易い花器があるものです。そんな花器は高さとか、胴まわりの形とか、こと色などがいい調子に出来ているものだと考えられます。沢山、花器があることも結構てすが、この様にどの花にもよく調和するIそんな花瓶を選びたいものです。そんな花器は何時まても大切に使える花瓶です。値段の安いものでも(五00円程度)ときどきそんな花瓶があるものです。買い方、選び方が大切だと云うことがわかります。感心せない前衛花器京都の五条坂辺の専門の花器屋へ行くと、花道家の造型の様な変った形の花器が並んでいます。前衛派の彫刻の様な、花器の様な何んともわc かりにくい花器が沢山並んでいる店があります。これ等の陶器は若い陶芸家の人達のいわば試作品であって、真実の新しいものは少い様です。それらの新しい陶器をよく見ると形には苦心のあとが見えるが、肝心の陶器としての焼き上り、釉薬などに不充分なものが多い。難かしい形のものは高い温度のかまへは入りにくく、自然、焼きが甘く色詞も素焼程度のお粗末なものが多い訳です。この程度のものてあると、むしろ私達がコンクリートで作る花器の方が真実性があると思える程度のものです。うっかりそんな花器を買わない様に、真実に新しいスタイルのある花器を選択することです。(写真、A、B、)すっきりとしたデザインAとBの花器はすっきりとした形、活け易い花器、いい意味の新しい感じの花器てす。この程度の意匠は上品であるし花との調和もよく活け易い花器です。Aの花器は濃いグレー、Bの花器は黄土色てす。(写真、C、D)趣味のよくないデザイソCとDは新しそうに見スるが趣味のいい花器ではありません。薄手の前衛陶器て喫茶店、バアー向きの荘器と云ったところ。こんな花器は家庭にはよくないと思います。こんな材料、いやな材料(だんぎく)九月に咲く。紫花と白花がある。個性の弱いつまらぬ花(トルコキキヨウ)淡紫色。10月の花。普通のいけばなには、いやな材料。(みつまた漂白)枝は面白いが、白したものは単色で平凡、悪趣味(パンパス色染)紫色、紅色に染めたパンパス。普通の活花にはよくない。特種な装飾の楊合は別。(嫌な加工材料)枝に白い点をつけたり、しだの茎に何かくっつけたり、松笠の色染など趣味が悪い。こんな材料はやめたい材料である。漂(8)

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