1962
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,h 小品とは小さい品もの。いけばなては小さい活花と云うことです。小品花の中には落着いた感じのもの、渋い味わいのもの、静かな趣味のもの、またこれとは反対に明るい感じの小品花もある訳てす。その飾る場所に依って調和のよい花器と材料を選ぶこととなります明るい感じの小品花桑原専渓が、特に明るい感じの小さい花、それについて考えてみようと思います。和室て贔るい装飾のあるお部屋。居問の様にくつろいだ気持の部屋。その他、洋室の花としてこんな傾向の小品花は応用がひろいと思います。敷の床の間にも小さくて色の強い花は安外調和のよいもの.てす。その他、棚の上、机の上、出窓の花、どの場所へも置きやすいのは小品花です。小品花は小さいが小粒.てぴりっと感じるよさが必要なので、そのために花器をよく選び、花をよく考えて挿けねばなりません。ことに明るい感じの小品花となりますと一層、配合について考えねばなりません。花器、花、ともに色調の配合について充分在意すること。小さい花てあり乍ら強い力を感じられる花。ぐっと引きつけられる様な魅力のある花。そんな感じのいけばな.てありたい訳てす。小品の油絵の様に美しく強い色が欲しい訳てす。勿論、花器は新しいデザインのある花器て色もよく考えて、そんな花器を常から用意して置くとよいと思います。黄土色、白、黒、青色などのはっきりした色の壺、思い切ってまっ赤な壺も装飾効果があると思います。ラょッらパ水仙日本陶器よりも洋風陶器にそんな傾向のいい趣味のもの、色の美しいものがありますから、いつても使える様なデザインのいいものを選んて用いる様にします。花は分量少くとも引き立つ花が必要てすから、どうしても色の強い花を入れることとなります。随って洋花の方がこの感じにぴったりすると思います。例えば四畳半、六畳の座アマリリス(開花)大輪ダリアテッポウユリスイトピー紫と赤カーネージ:ンフリージヤ紫洋種芍薬(開花)ガーベラ大輪この様な花を一種挿にするのもよいし、又、これに他の観葉植物をあしらってもよい調和となります。以上に書いた花は大体、色の強い大輪咲のもので、明るい感じを出そうと思っと花器もはっきりした色、花も強い感じのものを配合せないと特徴のある小品花は出来にくい。しかしごの様な考え方で作った作品は小さい花でありながら強い感覚を出すことが出来ます。ごんな傾向の小品花を銀色の板の上に飾った場合、まっ黒のレースのテーブルセンターの上に飾った場合、きっと近代的な美しい感じがす黒百合大輪紅菊牡丹(開花)トレ1本カア2本2本1本2本2輪2本3本2本1本3本1本3本ると思います。また、まっ黒のガラス瓶にカラジュームの葉2枚だけ人れると云った様な行き方も変った感じの出るものです。要するに花器の色と花の色、感じなどをよく調和させて小さいながら目を引く様な小品花を作る様に考をます。以上は、明るい感じ強い色調、洋花のもつ鮮麗な色を利用して美しい花を作ろうとする行き方でありますが。これと反対な趣味の小品花は純日本的な幽静風雅な感じに活けようとする小品花てあります。何れにしても、小さくしかも引きしまった、無駄のない花が小品花の生命さ椿でさ一あゆ種りまりす一が種、鳴子百合姫百合の様に自然趣味の小品も中々いいもの.てあります。しかしこの様に外面の美しさよりも風雅な感じ自然の趣味をねらう考え方とは、又別に明るい小品花の場所のあることを知らねばなりません。右もよし左もよし何れも美しい趣味てありますが、作るものはどの場合も目標をはっきり考えてやる車が必要てあります。何かねらい所のはっきりしない作品は魅カの乏しいものであります。女郎花桔梗二種二種花山菊菖吹一蒲野種一菊種二種てっせん一種水仙一種さ杜山若ん菊一き一種ら種い白椿二種編集発行京都市中京区六角通烏丸西入桑原専慶流家元(1) 桑原専慶流No.3 いけばな1962年12月獲行

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