1962
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~も植物はどの種類のものでも上を1962年11月獲行話の様だが、さうではない。これもいけばなに深い関係のある話である。水は活花に必要な水。風は水揚に関係ある風のこと。光熱は植物の生活に必要な光熱といけばなが受ける光のこと。この三つは花を習う人達が是非、考えねばならぬ大切なことである。水、風、光熱と書くと気象台のお桑原専渓切っても切れぬ間柄.て、いつも水のことを注意せねばなりません。花瓶の水は常に新鮮であること。日のたった花は花器の水をかえて花材の足元を水切りして活けなおすこと。すべて花を活けるとき先ず第一に水切りをして活け始める。花器には活ける前に七分目ほど水を入れ生け上げてから足し水をする。挿花の際に濁った水は活け上げてから取り替えること。花器の水を見るといけ花の習い方、しつけ方がわかると云う程、大事な花道の心得てある。水は水道の水よりも井戸水の方が水揚がよいが都会では一寸むづかしい。花器の水の中へ水揚薬を入れることもある。みようばんを少量入れると大変よく効く。夏冬ともによい方法である。花器の中で水揚薬を造って徐々に吸水さそうとする方法てある。花や葉に霧ふき器て水を吹きかける人があるが、これは水揚には効果のない方法で、かえってかわいてからの後が悪い。これはやらない方がよい。夏期のいけばなに相当時間が「水」いけ花にはたってから冷い水をさし水すると、却って花がしおれることがある。植物も人間と同じ様なもので急に条件を変えると悪いに違いない。花器の水と同じ温度の水がよい訳である。「風」花に嫌なのは風である。自然に植生している草木.てもはげしい風をうけると、花は落ち葉は色を失って落莫とした姿となる。部屋に飾って後、窓から強い風が吹き込むと、案外早くしおれる。夏に電気扇の風が花にあたると見るみる間に花も葉もしおれるもの.てす。風が水分を乾すわけで早くしおれることになる。風の日にぱ洗濯ものが案外早く乾くのと同じてある。随っていけ花に洟なのは風だと云うことになる。風のあたる場所にはなるべくいけばなを置かない方がよい。活ける前に花だめに置いた材料も紙に包んで水につけて置くとよいし、おけい古の帰り道には花をすっぼり上まで巻いて包む様にする。また風の強い日に庭や畠の花を切ると日持ちの悪いのもこれと同じ意味である。夏から秋にかけて、風の静かな夜、器に花をつけて全体をすっぽり紙て巻き上方だけ開けておいて夜中、庭へ出して置く。夜露をうけさせる訳だが水揚のため効果がある。「光熱一花に風は禁物だが‘案外、花を陽にあてても悪い影響がないものである。もっとも夏の陽には一たまりもないが、春秋の静かな陽ざしをうけて縁側に置いた壺の花が案外、よくもっている。ウインドウのいけ花をいけ花む陽がさし込んでいる中に、元気よく次々とつぼみをひらかせるものである。植物は何れもが太陽にあたって生長するのであるから、これは当然と云える。風は嫌だが陽にあたるのはそれほど悪くはない。草木は太陽の光熱をうけて成長する訳だが、一本の花をとって見ても花は上を向くのが大部分で特種なものは横を向き下に垂れる。しかし何れにしても光を受けた方に向いている訳.て、いけばなにはこれを考えることが大切てある。枝振りがどうあろう向く習性をもっているから、その通り自然のままに活ければよい訳.てある。いけばなには陽うら、陽おもてと云う言葉があって、何時も注意せねばならないことである。窓ぎわに盛花を置く。逆光線をうけ花も葉も背後から光をうけて花に依っては引立たないが、材料によっては逆光線が花や葉を透せて見え、色が一層効果的に美しい。ガラス器を用いるとさらに引立つ。ひる美しい花が夜、電灯の下では案外ひき立たないことがある。花のないつつじ、寒桜など細い褐色の枝は黒ずんで引き立たない。電灯の光.ては紫、黄の花色が濁って見え、螢光灯の下.ては赤が濁って見える。ごの様に夜の花と照明については注意が要る。活ける前に注意せないと活けてからがっかりすることがある。水、風、光熱① 編集発行京都市中京区六角通烏丸西入桑原専慶流家元桑原専慶流No.2 いけばな

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