1962
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旬である。がしみじみとして、女郎花、秋海棠などいわゆる秋草のジーズンとなる。はげいと紫苑などの季節。送り荷のりんどうもしっかりと色を増す。十月に入るといわゆる中秋。いけ花の世界も秋はうつりかわりのあわただしい季節である。このテキストを読ん.て頂く頃は丁度十月も半をすぎるの.てここには中秋のいけ花にも菊‘草木の実っきもの、野草の類、材料の中心となる。紅葉にはまだ少々早い。洋花は春夏に多く秋には種類が少い。ダリア、ガーベラ、グラジオラス、カーネージョソ、コスモス、バラ、ジンジャー、この程度の花である。テッポウ百合も咲くが秋の百合は感じのいいものでない。こ残りの暑さが漸々終ると九月も下この頃となると咲く花も秋の香りついて書くこととする。中秋のいけ花材料はなんと云ってつるもの、夏草の枯花枯葉、これがれに反して自然花の材料は実に多、。し(実もの)むべ、あけび、ぼけぶどう、ざくろ、野ばら、ひまわり、柿、栗、さんきらい、ななかまど、つるもどき、はすの実、杜若の実、紫閾、格の実、山藤の実(その他)(野草)描ぢやらし、るりとらの尾、ういきよう、たけにぐさ、おとぎりさう、秋のきりん草、大たで、すすき、とりかぶと、白山菊、(その他)(圏芸草花)さん菊、りんどう、あわ、コスモス、秋咲杜若、紅色べんけい草、百日草、バラ大輪菊各種小菊、けいとう、きび、ダリア、ジンジャ、はけいとう、貴船菊。中輪菊各種からいとそう、吹上菊、なたまめ、ガーベラ、グラジオラス、テッポウユリ菊の豊かな季節であるから種類も色々様々てお稽古ごとに菊を挿ける季節であろう。菊に何を添えるかと云っていい程、菊のいけ花が多い。菊には大輪咲の一輪もの、中輪の二輪もの、単弁咲の山菊、山菊は中々感じがよく白黄褐紅赤など種々の色のものを根メに用いると上品な花となる。重弁の小菊の類も最近は水揚りのよい柔い品種があるから背たけの高いものを、小菊と山菊と二種とり交えて挿けるのも優しい花となるものである。吹上菊と云うのは庭の花て白の大輪単弁.て水揚りのよい好ましい品種てある。葉は多肉質の輪生で足もとは木質の様な特種な姿をしている。実ものの根じめとしても、バラ、ダリアなどと交挿しても美しい。強い香りの花である。して早くも照り初めた山木の紅葉を見つけて生けるのも季節を深く感じられて好ましい。此の頃になるとどの花材も水揚がよく色調も豊かで美しいいけ花を楽しむごとの出来るジーズソ.てある。その中にしっとりとした秋の野趣、秋の風雅を織り込み様にしたいものであり。春は豊かな美しさ、秋は静かな美しさ、この気持が大切である。野山.て採集した材料、猫じゃらし、栗の実つき、さんきらい、たけにぐさ、などの豊かな野趣の材料に菊、りんどう、などを添えて風雅な瓶花や盛花とするのもよい。から糸草、秋海棠、吹上菊、水引草などの庭の花に菊をそえ、しだ、らん、ふ入り葉のやっ手の葉。などを軽くあしらって小品花を作る趣味もよい。10月は紅葉にはまだ早いが、時とるっ゜(瓶洋花は少い季節だがダリアの美しい季節であるから大輪咲、単弁咲、ポンポン咲などを撰んで明るいいけ花を作りたい。ダリアには(カラジュームの葉、すすきの穂、サンキライ、ボケの実、猫ぢやらし、ジュロの実など)調和がよい。むべ、あけび、ぼけ、野ばらの実、蓮の実、日まわりの実などには菊の類がよい。ブドウのマスカットを房だけ瓶花に根じめにダリアを配したのも明るい感じである。ぶどうの蔓つきの枝に菊を配するのもよい。ダリア、ガーベラ、カラジュームの葉、バラ、モンステラの葉、ドウの実、ススキの穂、グラジオラスの満開の花など用い方を考えると色も明る<派手な花が作れる。この場合には花器の美しい色調のものをえらび、花材の色との調和に依って油絵にある様な新しい強い色感の花を作りたいものである。こんな場合に例えばプラタナスの黄葉や枯葉などを加えると色彩効果を上げることが出来るだ花盛花お稽古花材料二例)ダリア、猫ぢやらし菊、かんすらんはすの実萄ククブ元リンドウ、薄ガーベラ、やって、菊野薔薇、大輪菊ナナカマド、菊サンキライ、菊ニューサイ蘭、菊栗紅菊① 編集発行京都市中京区六角通烏丸通西入中秋のいけばな専漢家桑原専慶流家元桑原1962年10月獲行桑原専慶流No. I いけばな

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