桑原専慶流家元継承披露の会


冨春軒 桑原仙齋(十四世家元) 挨拶

sensai sensei

本日は、桑原専慶流第十五世家元継承披露宴の御案内を差し上げましたところ、このように会場に溢れるほどの御来客を迎えることができまして、望外の喜びと深く感謝申し上げます。  

御光来頂きましたのは、日本いけばな芸術協会理事長の肥原碩甫先生。そして日本いけばな芸術協会の要職についておられる先生方。京都いけばな協会会長の大津光章先生と、京都いけばな協会の皆様。  

そして桑原専慶流の一門の各位でございますが、私が只1人政治家として尊敬申し上げております前京都府知事の荒巻京都文化博物館館長が友人として御列席下さいました。  

このように多くの方々の前に立たせて頂いて、家元を次の代に継がせますことを御報告申し上げるという段になりますと、自然と私の来し方をふり返るものでございます。私が十四世家元を継承しましたのは二十二年半前のことでございます。そして本日家元を副家元の和則に譲ることができるようになりましたのは、皆様方のお支えがあってのことと深く御礼申し上げます。  

ところで和則は第十五世家元を継ぐに当たりまして、私と同じ「仙溪を名乗りたい」と強く希望いたしました。  

この花號は、初代冨春軒仙溪のものでございました。それはおそらく後漢の始祖光武帝時代の厳光に因んだものではないかと思います。厳光は高潔な人物で学識も深い人でした。光武帝の補佐役を辞退して冨春山に帰り、麓に流れる冨春江で釣りをしたりしながら文雅な生活を送りました。初代仙溪はその人柄を偲んで専慶の別号を「仙溪」としたのではないかと思います。  

今日、この場で和則が桑原専慶流第十五世「冨春軒仙溪」となります。  

願わくは、初代のように花技に精通し、学識を重んじる家元になってほしい、その上厳光のような人柄をそなえてくれればと願っております。  

そして私は今日から「仙齋」と名乗ります。勿論花道には精進続けますが、これからは書齋での時間を、もう少しとれればと思っております。  

仙溪、仙齋を宜しくお願い申し上げます。  

又内側から私を支えて下さいました流内の皆様、そして家族の強い絆を有り難く感じております。わけても至らぬ私を支え続けてくれた妻の素子にこの場をお借りして感謝の気持ちを伝えさせて頂きたいと存じます。  

皆様、本日この席においで下さいましたこと重ねて御礼申し上げます。

 平成十六年五月五日

    桑 原 仙 齋     


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